LINE VOOM終了対応ガイド|公式アカウント運用で見直すべき導線・代替施策

LINEヤフーが2026年7月15日に公表したお知らせによって、企業のSNS担当者の9月のスケジュールは大きく変わりました。LINE VOOMが2026年9月30日(水)をもって提供終了となり、それに先立って8月下旬から9月16日にかけて、LINE公式アカウントの管理画面やビジネスプロフィールの仕様が段階的に変わっていくからです。単なる一機能の終了ではなく、これまで当たり前に置いていた投稿導線と表示パーツが、告知なしにユーザーの画面から消えるという話です。

やっかいなのは、影響が「VOOMを熱心に運用していた企業」だけに限られない点にあります。数年前に一度だけ投稿してそのまま放置しているアカウントでも、ビジネスプロフィールに「最近の投稿」パーツやフォロワー数の表示を残していれば、9月16日以降はその領域が空白になったり、意図しない見え方に変わったりします。自社サイトやチラシにVOOM投稿のURLを載せていれば、10月以降はそのリンクが行き止まりになります。つまり、VOOMを使っていない担当者ほど、影響範囲の棚卸しを忘れやすいということです。

この記事では、SNS運用代行を手がける株式会社ハーマンドットの運用現場の視点から、VOOM終了に伴って企業のLINE公式アカウント担当者が9月30日までに実際にやるべき作業を、時系列のタスクに落とし込んで整理します。何が消えるのかという事実の列挙で終わらせず、消えた導線をどこで補うか、リッチメニュー・友だち追加導線・他SNSへの送客をどう組み替えるかまで具体的に扱います。本記事の内容は2026年8月4日時点で公開されている情報にもとづいています。

この記事の要点

  • LINE VOOMは2026年9月30日(水)11時ごろに提供終了。LINE公式アカウント自体は従来どおり継続する
  • 影響は3段階で来る。8月下旬に同時投稿チェックボックス廃止、9月16日に分析メニューとプロフィール表示パーツの削除、9月30日に本体終了
  • 企業側の実務は「棚卸し・データ退避・導線差し替え・KPI再定義」の4本立て。8月中に棚卸しを終えるのが現実的なライン
  • 代替導線の主役は新しい「投稿」機能・リッチメニュー・友だち追加設計の3点。VOOMの露出をそのまま置き換える受け皿は存在しない
  • フォロワーと友だちは別物。フォロワー数をそのまま成果として引き継げると考えるのが最大の落とし穴

LINE VOOM終了で何が変わるのか

LINE VOOMは2026年9月30日(水)の11時ごろに提供を終了します。LINEヤフーが2026年7月15日にLINEヤフー for Business上で公表した【重要】LINE VOOM提供終了に伴う、LINE公式アカウントへの影響についてで正式に告知された内容で、同日付でケータイWatchなどの媒体も報じています。終了するのはVOOMという面であって、LINE公式アカウントそのものではありません。ここを取り違えると社内説明で無用な混乱を招くため、最初に押さえておくべき前提です。

LINE VOOMとは何だったのか

LINE VOOMとは、LINEアプリ内でショート動画や画像投稿をフィード形式で閲覧・投稿できたコンテンツプラットフォームのことです。2021年にタイムライン機能を刷新するかたちで登場し、アプリ下部のタブに常設されていたため、LINEを開いたユーザーが偶然企業の投稿に触れる可能性がある数少ない面でした。企業アカウントにとっては、友だち追加をしていないユーザーにもリーチできる貴重な入口という位置づけだったわけです。

一方で、VOOMは企業の運用現場では扱いにくい面もありました。フォロワーと友だちが別カウントであるため成果の合算がしづらく、投稿がどれだけ友だち追加や売上に結びついたのかを追いにくい構造だったからです。そのため、メッセージ配信のついでに同時投稿のチェックを入れるだけ、という運用に落ち着いていた企業が相当数あります。今回の終了で実務的なダメージが大きいのは、この「ついで運用」ではなく、VOOMを主戦場として動画本数を積み上げてきた企業のほうです。

LINEヤフーは終了の理由として、サービス提供体制の見直しと体験価値の再編を挙げています。VOOMタブの跡地には、グループのショッピングサービスを束ねたショッピングタブが2026年9月に正式リリースされる予定と報じられており、LINEアプリ全体の重心がコマース側へ移る流れの一環と読み取れます。SNS的な回遊面がひとつ減り、購買導線が強化されるという構造変化として捉えると、企業側の打ち手も考えやすくなります。

提供終了までに予定されている変更のスケジュール

変更は9月30日に一度に起きるのではなく、8月下旬から三段階で進みます。LINEヤフーの発表にもとづくと、最初に来るのがメッセージ配信画面の変更、次に管理画面とビジネスプロフィールの表示変更、最後にVOOM本体の終了という順番です。企業担当者にとって実務上の締切になるのは9月30日ではなく、むしろ手前の8月下旬と9月16日だという点を強調しておきます。

時期変更内容企業側で起きること
2026年8月下旬以降メッセージ配信時の「LINE VOOMに投稿」チェックボックスが廃止同時投稿の運用が使えなくなる。9月中旬配信分までは既存設定が有効
2026年9月上旬画像・動画・テキストを組み合わせた新しい「投稿」機能の提供開始予定代替となる投稿手段の検証を開始できる
2026年9月16日(水)管理画面「分析」タブからVOOMメニューを削除。ビジネスプロフィールの「最近の投稿」パーツ・「フォロワー数を表示」項目・「投稿」ボタンが削除プロフィールの見え方が変わる。レポート様式の作り直しが必要
2026年9月30日(水)11時ごろLINE VOOM提供終了。ストーリー機能・バースデーカード機能・フォロー/フォロワー機能も終了投稿URLが機能しなくなる。VOOM経由の接点が完全に消える

この表で見落としやすいのが9月16日です。分析メニューの削除は社内レポートに直結しますし、ビジネスプロフィールの表示パーツが自動削除されるということは、担当者が何もしなくてもプロフィールの構成が変わるということを意味します。プロフィールを名刺代わりに使っている業種、たとえば飲食店や美容サロン、クリニックのように、来店前にプロフィールを見られる前提の業態ほど、この日を境にした見え方の確認が欠かせません。

なお、個人ユーザー向けには投稿データのバックアップ申請窓口が用意されており、申請期間は2026年7月15日から9月30日まで、バックアップ完了後30日間ダウンロードできると案内されています。ただし公式アカウントの投稿はこの窓口の対象外とされているため、企業が自社の投稿素材を残したい場合は、後述するように別の手段で自力退避する必要があります。この非対称性は見落とされやすいので注意してください。

LINE公式アカウント本体は終了しない

LINE公式アカウントのメッセージ配信、リッチメニュー、クーポン、ショップカード、チャットといった中核機能は、VOOM終了後もこれまでどおり利用できます。社内で「LINEが終わるらしい」という伝聞が回ることが実際にありますが、終了するのはVOOMという一機能であり、友だちに対する1対1のコミュニケーション基盤は無傷です。むしろLINEヤフー側の説明を読む限り、公式アカウントの投稿機能は刷新されて継続する方向にあります。

加えて、終了後もLINE公式アカウントから投稿された一部のコンテンツは、LINEアプリ内の「ホーム」タブで引き続き閲覧できると案内されています。VOOMタブという独立した面はなくなるものの、企業発信のコンテンツが露出する場所そのものがゼロになるわけではないという理解が正確です。ただし、ホームタブでどの投稿がどの程度の頻度で表示されるかについて、2026年8月4日時点で詳細な仕様は公開されていません。露出量が従来と同等に保たれる保証はないとみて計画を立てるのが安全です。

したがって、企業がとるべき姿勢は「LINEから撤退する」でも「新機能が出るまで待つ」でもありません。VOOMが担っていた役割を分解し、公式アカウント内の別機能と自社サイト・他SNSに振り分け直すという、地味な再設計作業になります。次章では、その再設計の起点になる影響範囲の棚卸しから見ていきます。

企業アカウントが先に確認すべき影響範囲

最初にやるべきは代替施策の検討ではなく、自社がVOOMにどれだけ依存していたかを数値で確定させる作業です。依存度が分からないまま代替策を並べても、優先順位が付けられず、結局9月に入ってから慌てることになります。運用代行の現場では、移行案件に入るとき必ずこの棚卸しから始めます。所要時間は、アカウント1つあたり半日から1日程度をみておけば足ります。

自社アカウントのVOOM依存度を数値で把握する

依存度の測り方はシンプルで、直近12か月のVOOM投稿本数、フォロワー数、投稿経由の友だち追加数、そして投稿から自社サイトへの流入数の4点を並べるだけです。管理画面の分析メニューは9月16日に削除されるため、数値の取得は8月中に済ませておく必要があります。ここを逃すと、後から「VOOMがどれくらい効いていたのか」を振り返る材料が社内に一切残りません。

取得した数値の解釈も決めておきましょう。投稿経由の友だち追加が月間の新規友だちの1割未満であれば、VOOM終了の実害は小さく、プロフィール表示の手当てだけで済みます。逆に2割を超えているなら、9月以降の新規友だち獲得計画を作り直す必要があります。運用現場の感覚では、動画クリエイティブを毎週投下していた企業でも、VOOM経由の友だち追加が全体の3割を超えているケースはそう多くありません。過度に悲観する前に、まず実数を見ることです。

もうひとつ確認しておきたいのが、VOOM経由で流入していたWebサイトのセッション数です。Googleアナリティクスの参照元でVOOM由来のトラフィックを絞り込み、月間セッションと、そこからのコンバージョン数を控えておきます。この数字が月間の全流入の数パーセントに収まっているなら、他チャネルの微増で吸収できる範囲です。数字を押さえずに「大きな損失が出る」と社内で言ってしまうと、後で説明がつかなくなります。

外部に出している導線とクリエイティブの棚卸し

次に確認するのは、社外に出ているVOOM関連の導線です。自社サイトのフッターやSNSアイコン列にVOOMへのリンクを置いていないか、店頭のPOPやチラシ、名刺、パンフレットにVOOM投稿のQRコードを印刷していないか、プレスリリースや採用ページに投稿URLを引用していないか。これらは9月30日以降すべて行き止まりになります。紙媒体は差し替えに時間がかかるため、真っ先に洗い出すべき対象です。

広告まわりも確認対象です。VOOM上に配信面を持つ広告メニューを使っていた場合、配信計画と予算配分の見直しが必要になります。運用型広告の管理画面で配信面別のレポートを出し、VOOM面に配分していた予算額と、そこから得ていたコンバージョン数を控えておいてください。この数字がないまま9月を迎えると、10月の広告成果が落ちたときに原因の切り分けができなくなります。

8月中に洗い出しておく確認項目

  • 自社サイト内のVOOMリンク(フッター、サイドバー、SNSアイコン列、記事内埋め込み)
  • 印刷物のQRコード(店頭POP、チラシ、名刺、会社案内、商品同梱物)
  • 他SNSのプロフィール欄やリンクまとめページに置いたVOOMのURL
  • プレスリリース・採用ページ・IR資料に引用した投稿URL
  • 広告アカウントでVOOM面に配分している予算と、その面のコンバージョン実績
  • 制作会社や代理店に預けている動画素材の原本の所在

棚卸しの結果は一覧表にして、差し替え担当者と期限を割り当ててください。特に印刷物は在庫を廃棄するのか、シールで上書きするのか、次回増刷まで放置するのかという判断が必要になり、判断者が営業部門や店舗側にいることも多いためです。SNS担当者の一存で決められない項目こそ、早い段階で共有しておくべきです。

KPIとレポート様式への影響

VOOMのフォロワー数を月次レポートのKPIに載せていた企業は、9月分のレポートから項目を差し替える必要があります。分析メニューが9月16日に削除されるため、9月は月の途中までしか数値が取れないという中途半端な状態になります。月次で前月比を追っている場合、8月分を最後の完全な実績として確定させ、9月分は注記付きで扱うのが実務的な処理です。

差し替え先の指標も先に決めておきましょう。VOOMのフォロワー数の代わりに置くべきは、友だち数そのものではなく、有効友だち数とブロック率、配信あたりのクリック率です。VOOMが担っていたのは認知と接触の面ですから、代替指標も接触の量と質を測るものにそろえるほうが、施策との対応関係が保たれます。指標を単純に減らすだけにすると、レポートが配信結果の羅列になってしまい、改善の議論ができなくなります。

経営層や店舗への共有資料も、8月中に注釈を入れておくと後の説明が楽になります。「9月中旬以降、LINE VOOM関連の数値は取得不可となるため、当該項目は8月実績をもって計測終了とする」といった一文を月次レポートに残しておけば、数字が途切れた理由を毎回説明する手間が省けます。運用代行の現場では、こうした注記漏れが後から効いてくる場面を何度も見てきました。

指標の組み替え方やレポート様式の設計を体系的に見直したい場合は、以下の記事も参考にしてください。

9月30日までの移行タスクと実施スケジュール

移行作業は8月・9月前半・9月後半の三区分で組むのが最も破綻しにくい進め方です。理由は単純で、LINEヤフー側の変更が三段階で来るため、こちらの作業も同じ区切りに合わせておくと、作業と仕様変更のズレによる手戻りが起きないからです。以下では各区分で何を終わらせるべきかを、担当者が動ける粒度で並べます。

8月中に終わらせるべき棚卸しとデータ退避

8月の主題はデータの確保です。分析メニューが9月16日に消え、投稿そのものは9月30日に閲覧できなくなるため、数値もコンテンツも8月中に手元へ落とすのが原則になります。分析画面のスクリーンショットだけで済ませず、CSVで書き出せる項目はCSVで、月次の推移が分かる形で保存してください。数年分の運用実績が社内資産として残るかどうかは、この一手間で決まります。

投稿した動画・画像素材そのものの退避も忘れがちなポイントです。公式アカウントの投稿は、個人ユーザー向けに用意されているバックアップ申請の対象外とされています。制作会社に依頼して作った動画であれば原本データが先方に残っているはずですが、社内で撮影・編集してVOOMに直接アップロードした素材は、アップロード後に元データを整理してしまっているケースが少なくありません。投稿素材の原本が社内に残っているかを、投稿一覧と突き合わせて確認する作業を8月中に入れてください。

あわせて、VOOM Studioにログインして自社アカウント宛のお知らせを確認しておきましょう。アカウントの種別や利用状況によって案内される内容が異なる可能性があるため、一般公開されている告知だけで判断せず、自社の管理画面に出ている通知を必ず読むという運用が安全です。複数アカウントを運用している企業は、アカウントごとに確認が必要になります。

9月前半に着手する導線の差し替え

9月上旬には新しい「投稿」機能が提供される予定とされています。提供が始まったら、まずは既存のコンテンツを1〜2本試験的に投稿し、ホームタブでどう見えるか、どの導線からユーザーが到達するかを自分の目で確認してください。仕様の詳細が事前に十分公開されていない以上、実機で確かめる以外に運用設計を固める方法がありません。検証用のテスト投稿は、通常配信とは別枠で計画しておくとよいでしょう。

同時に、8月の棚卸しで洗い出した外部導線の差し替えを進めます。Webサイト上のVOOMリンクは、友だち追加URLかLINE公式アカウントのプロフィールURLに置き換えるのが基本です。ここで安易に削除だけして終わらせると、SNSアイコン列にぽっかり穴が空いて導線が痩せます。VOOMの枠を空席にせず、既存の他SNSアカウントか友だち追加ボタンで埋めるところまでを1セットの作業として扱ってください。

時期やること担当の目安
8月上旬〜中旬依存度の数値化、外部導線の棚卸し、レポート様式の見直し着手SNS担当者
8月中旬〜下旬分析データのCSV書き出し、投稿素材の原本確認と退避、VOOM Studioの通知確認SNS担当者・制作担当
8月下旬同時投稿チェックボックス廃止に伴う配信オペレーションの手順書改訂SNS担当者
9月上旬新しい「投稿」機能の検証、Webサイト・他SNSのリンク差し替えSNS担当者・Web担当
9月16日までビジネスプロフィールの構成見直し、削除されるパーツの代替配置SNS担当者
9月後半印刷物・店頭POPの対応判断、リッチメニュー改修、社内周知SNS担当者・店舗/営業
9月30日直後リンク切れの最終確認、10月以降の配信計画確定SNS担当者

この表のうち、外部の関係者が絡むのは印刷物とWebサイトの2項目です。制作会社やWeb制作パートナーの稼働は前もって押さえておかないと、9月後半に依頼しても着手が10月にずれ込みます。差し替え作業そのものは軽くても、依頼から反映までのリードタイムがボトルネックになるという点を、スケジュールを引く段階で織り込んでおいてください。

9月後半から終了当日までの最終確認

9月16日の変更が反映されたら、実機でビジネスプロフィールを開いて表示崩れがないか確認します。「最近の投稿」パーツと「フォロワー数を表示」の項目が削除されることで、プロフィール上の情報量が減り、余白が目立つ構成になる可能性があります。空いた領域には、クーポンやショップカード、店舗情報など既存のパーツを繰り上げて配置し、プロフィールとしての完成度を保ってください。

9月30日の当日以降は、リンク切れの最終確認を行います。自社サイト、他SNSのプロフィール、リンクまとめページ、メールマガジンのテンプレート、社内で共有しているマニュアル類にVOOMのURLが残っていないかを、URL文字列で全文検索するのが確実です。手作業で目視すると必ず取りこぼしが出ますから、検索で拾える範囲は検索で拾ってしまいましょう。

最後に、10月以降の配信計画を確定させます。VOOM向けに割いていた制作工数と広告予算をどこへ振り替えるかを決めておかないと、担当者の作業時間だけが宙に浮き、結果として全体の投稿量が落ちるという事態になりがちです。浮いた工数の行き先を先に決めておくことが、移行を単なる減少で終わらせないための分かれ目になります。

移行を機に運用体制そのものを整理したい場合は、業務フローの設計手順をまとめた記事も参考になります。

代替導線として強化すべきLINE公式アカウント機能

VOOMの役割をひとつの機能で置き換えることはできません。VOOMが担っていたのは「まだ友だちになっていない人へのリーチ」と「友だちへの追加的な露出」という性質の異なる二つの役割であり、それぞれ別の手段で補う必要があるからです。ここでは公式アカウント内で使える受け皿を、優先度の高い順に整理します。

新しい「投稿」機能とホームタブでの露出

LINEヤフーは2026年9月上旬に、画像・動画・テキストを組み合わせた新しい「投稿」機能を提供する予定としています。VOOM終了後もLINE公式アカウントから投稿された一部コンテンツはホームタブで閲覧できると案内されており、この新機能がその受け口になるとみられます。ただし、表示ロジックや露出量の詳細は2026年8月4日時点で公開されていません。VOOMと同等のリーチが得られるという前提で計画を組むのは避けてください。

現実的な向き合い方は、提供開始直後の数週間を検証期間と割り切ることです。既存の動画を使って週1〜2本のペースで投稿し、閲覧数と流入の傾向をつかんだうえで、10月以降の本数を決める。投稿の作り込みに時間をかけるのは、仕様と手応えが見えてからで構いません。仕様が固まりきっていない機能に最初から工数を大きく張るのは、運用リソースの使い方として得策ではありません。

検証にあたっては、投稿ごとの成果を記録する簡易な台帳を用意しておくと後が楽になります。投稿日、コンテンツの種類、尺、サムネイルの方向性、閲覧数、遷移数を並べておけば、10月に方針を決める段階で判断材料が手元に残ります。新機能は分析画面の実装も当初は限定的である可能性があるため、手元での記録が意味を持ちます。

リッチメニューを友だち導線のハブにする

友だちに対する追加露出という役割は、リッチメニューが最も確実に引き受けられます。トーク画面下部に常時表示され、友だちが自発的にタップする面である以上、露出の安定性という点ではVOOMより優れているからです。VOOM経由で流していたキャンペーン情報や新商品の告知は、リッチメニューの一枠を入れ替えるだけで代替できるケースが多くあります。

実務上のポイントは、枠の使い方を固定しないことです。6分割のうち2枠を常設の店舗情報や予約導線に充て、残りを月次で入れ替える運用にすると、告知面としての機能を持たせながら基本導線も維持できます。運用代行の現場では、リッチメニューの更新頻度を月1回以上に保っているアカウントほど、メニュー経由の遷移率が高い傾向があります。作って放置している企業が多いぶん、ここは差がつきやすい領域です。

タブ切り替え型のリッチメニューを使えば、1つのメニュー内で複数画面を持てるため、情報量を減らさずに整理できます。ただし、タブが増えるほどタップ回数も増えるため、主要導線は必ず第1タブに置いてください。VOOM終了で導線を作り直すこのタイミングは、放置されがちなリッチメニューを見直す口実としてはむしろ好都合です。

友だち追加そのものを増やす設計に戻す

友だちになっていない人へのリーチという役割は、公式アカウント内では代替できません。ここは友だち追加の入口を増やす方向で埋めるのが唯一の現実解です。店頭のQRコード、レシートや同梱物への印字、Webサイトのポップアップ、他SNSのプロフィールリンク、広告経由の友だち追加といった従来型の入口を、あらためて一つずつ点検してください。

点検の観点は「置いてあるか」ではなく「機能しているか」です。店頭POPがレジの裏に置かれていないか、Webサイトの友だち追加ボタンがフッターの最下部に埋もれていないか、他SNSのプロフィール欄のリンクが古いままになっていないか。導線は設置した時点で満足して放置されやすく、実際に追加数を計測すると、想定の半分も機能していない入口が見つかることが珍しくありません。

友だち追加の増加施策としては、追加時の特典設計を見直すのが即効性のある打ち手になります。クーポンの割引率を上げるのではなく、追加直後のあいさつメッセージで受け取れる価値を明確に伝えるだけでも、追加後のブロック率は変わります。VOOM終了で新規接点がひとつ減るぶん、既存の入口の歩留まりを上げることに手をかける価値が高まっています。

セグメント配信とステップ配信で配信量を補う

VOOMへの同時投稿がなくなることで、企業からの発信回数は自然に減ります。この減少をメッセージ配信の回数増で埋めようとすると、ブロック率の上昇という副作用を招きます。配信回数を増やすのではなく、セグメントを切って配信の精度を上げるという方向で補うのが定石です。属性や行動履歴でオーディエンスを分け、関心の高い層にだけ追加配信を届ければ、全体のブロック率を抑えたまま接触量を保てます。

ステップ配信も有効な補完手段です。友だち追加直後の数日間で複数回の接触を自動的に作れるため、新規友だちの立ち上がりをVOOMに頼っていた企業ほど効果を感じやすい設計です。追加日から起算して3日目、7日目、14日目といった間隔でシナリオを組み、それぞれ異なる訴求を用意しておけば、担当者の手を煩わせずに接触量を確保できます。

ただし、配信設計の変更はブロック率という形で結果が跳ね返ってきます。変更前後で必ず数値を比較し、悪化していれば速やかに戻すという前提で進めてください。ブロック率が月次で1ポイント以上悪化したら配信設計を見直すというルールを先に決めておくと、判断が遅れずに済みます。

LINE公式アカウントの配信設計そのものを基礎から組み直したい場合は、以下の記事が参考になります。

他SNSやWebサイトへのつなぎ直し方

VOOMで積み上げた資産のうち、社外へ持ち出せるのは動画・画像素材と、そこで検証された企画の型です。フォロワーもエンゲージメントデータも移せませんが、何が反応を取れたかという知見は他のプラットフォームで再利用できます。この章では、制作物と予算をどこへ振り替えるかという観点で整理します。

VOOM向けに作っていた縦型動画の再利用先

縦型のショート動画は、InstagramのリールやTikTok、YouTubeショートにほぼそのまま転用できます。尺やアスペクト比の要件が近いため、字幕位置とサムネイルの調整程度で再投稿できるケースが大半です。VOOM向けに月4本を制作していた企業であれば、同じ本数を別の面に投下するだけで、少なくとも制作リソースの遊休化は避けられます。素材は捨てずに面を移すのが原則です。

ただし、面が変われば反応する層も変わります。VOOMの利用者層は日常的にLINEを使う幅広い年齢層でしたが、TikTokは若年層寄り、Instagramリールは20代から40代の女性比率が高いというように、プラットフォームごとの偏りがあります。同じ動画を横展開するにしても、冒頭2秒のつかみと訴求文言は面ごとに作り分けるのが前提です。素材は使い回せても、パッケージングは使い回せないと考えてください。

どの面に振り替えるべきかは、自社の顧客層と既存アカウントの育ち具合で決まります。すでにInstagramで一定のフォロワーがいるなら、新しい面を立てるより既存アカウントの投稿本数を増やすほうが投資対効果は高くなります。逆に他SNSをまったく運用していない状態でVOOM終了を迎える企業は、新規開設から始めることになるため、成果が出るまでの助走期間を半年程度は見込んでおくのが現実的です。

自社サイト・LPからのLINE導線の再設計

自社サイトは、他社のプラットフォーム都合に左右されない唯一の資産です。VOOM終了のような事態を繰り返さないためにも、この機会にサイトからLINE公式アカウントへの導線を強化しておくことをおすすめします。具体的には、記事下部やサービスページの中盤に友だち追加のブロックを配置し、追加によって何が得られるのかを一文で明示するという、地味な改修が効きます。

導線を増やす際に注意したいのが、追加ボタンの押し先です。友だち追加URLに遷移パラメータを付与できる設定を使えば、どのページからの追加が多いのかを後から分析できます。設定していない企業が多い項目ですが、入口ごとの貢献度が分かるかどうかで、改善の打ち手の精度がまったく変わります。VOOMという計測しにくい入口が消える今こそ、計測できる入口を整えるタイミングです。

あわせて、サイト内でVOOM投稿を埋め込んでいた箇所の扱いも決めておきます。埋め込み枠をそのまま残すと10月以降は空白か表示エラーになるため、YouTubeやInstagramの埋め込みに差し替えるか、静止画とテキストのブロックに置き換えるかを選ぶことになります。判断が付かない場合は、いったん該当ブロックを非表示にしておき、代替コンテンツが用意できてから戻すという手順が安全です。

広告予算の振り分けをどう見直すか

VOOM面に配分していた広告予算は、そのまま消すのではなく、友だち追加を目的とした配信へ振り替えるのが基本方針になります。VOOMが担っていた新規リーチの役割を、広告で買い直すという発想です。LINE広告の友だち追加訴求に振り向ければ、失われた入口の代替として最も直接的に機能します。

振り替え額の目安は、VOOM面の実績から逆算します。VOOM経由で月間何件の友だち追加が発生していたかを8月時点で確定させ、その件数を友だち追加広告で買った場合の費用を試算する。獲得単価が想定より高ければ、全量の代替は諦めて、Web導線の改善やオフラインの入口強化と組み合わせるという判断になります。すべてを広告で埋めようとすると獲得単価が跳ね上がるため、複数手段の合わせ技で設計するのが現実的です。

予算の振り替えにあたっては、10月から12月にかけての繁忙期と重なる業種では、単価上昇の影響も見込んでおく必要があります。年末商戦期は広告在庫の競争が激しくなり、同じ予算で獲得できる件数が減るためです。移行に伴う予算組み替えは、可能であれば9月中に着手し、単価が上がりきる前に配信を安定させておくほうが有利に働きます。

VOOM終了対応でよくある失敗と注意点

移行対応で最も多い失敗は、告知内容を読んだだけで対応済みとみなしてしまうことです。VOOM終了の情報自体は広く報じられているため、担当者は内容を把握しています。それでも実務が抜け落ちるのは、影響が自社のどの資料・どの画面に及ぶのかを一件ずつ確かめる工程を飛ばすからです。ここでは運用現場でつまずきやすい論点を挙げます。

フォロワー数をそのまま友だち数と読み替えてしまう

VOOMのフォロワーとLINE公式アカウントの友だちは別のものです。フォロワーは自動的に友だちへ引き継がれるわけではなく、ユーザー側が能動的に友だち追加の操作をしない限り、9月30日以降その接点は消えます。LINEのヘルプでも、サービス終了後も情報を受け取りたい場合は友だち追加が必要で、追加できるのは公式アカウントのみと案内されています。

したがって、フォロワーが1万人いるから友だちも実質1万人という説明は成立しません。社内報告でこの読み替えをしてしまうと、10月以降の実績と食い違い、後から訂正することになります。フォロワー数は移行対象ではなく、9月30日で失われる数値として扱うのが正確です。この前提を早い段階で共有しておくと、期待値のズレによる混乱を防げます。

できる対応は、9月30日までの期間にVOOM上で友だち追加を促す告知を出すことです。フォロワーに対して、今後の情報は公式アカウントで配信する旨と、友だち追加の手順を明示した投稿を複数回に分けて流しておく。移行率が高い数字になることは期待できませんが、何もしないよりは接点を残せます。告知は8月中に開始し、9月の終了直前まで継続するのが望ましい進め方です。

9月16日の表示変更を軽視してプロフィールが崩れる

ビジネスプロフィール上の「最近の投稿」パーツ、「フォロワー数を表示」項目、「投稿」ボタンは、9月16日に自動的に削除されます。担当者が操作しなくても構成が変わるということですから、変更後の見え方を確認しない限り、崩れに気づけません。プロフィールを来店前の情報確認に使われている業態では、この放置がそのまま機会損失につながります。

9月16日以降に必ず実機確認したい箇所

  • ビジネスプロフィールの上から下までの表示(スマートフォンの実機で確認)
  • 削除されたパーツの跡地に不自然な余白が出ていないか
  • プロフィール内の他パーツの並び順が意図どおりか
  • プロフィールから予約・来店・購入に至る導線が途切れていないか
  • 複数アカウントを運用している場合、全アカウントで同じ確認を実施したか

確認はiOSとAndroidの両方で行うのが理想です。表示の細部が環境によって異なる可能性があるうえ、社内で使っている端末が片方に偏っていると、もう一方での不具合に気づけないためです。手元に両方の端末がない場合は、社内の別部署に依頼してスクリーンショットを送ってもらうだけでも十分な確認になります。

投稿データを退避せずに素材を失う

公式アカウントの投稿は、個人向けに提供されているバックアップ申請の対象外とされています。この点を見落とし、9月30日を過ぎてから素材を取りに行こうとして失うという事故が起こり得ます。社内で撮影・編集し、VOOMへ直接アップロードしたきり原本を整理してしまった動画は、終了後には取り戻せません。

退避作業は単純ですが件数が多いと時間がかかります。投稿本数が数十本規模になる企業では、担当者一人で半日から一日を要することもあります。9月に入ってから着手すると他の移行作業と重なるため、8月のうちに済ませておくのが賢明です。あわせて、退避した素材の保管場所と命名ルールを決めておくと、他SNSへ転用する段階での探索コストが下がります。

もうひとつ注意したいのが、分析データの退避漏れです。投稿本体は9月30日まで見られますが、分析メニューは9月16日に削除されます。素材の退避に気を取られて数値の書き出しを後回しにすると、締切が半月早いほうを取り逃がすことになります。数値の書き出しを素材の退避より先に行うという順序を守ってください。

移行対応にかかる工数を社外に任せる選択肢を検討する場合は、費用相場を把握しておくと判断がしやすくなります。

ハーマンドットに相談するべきケース

自社だけで対応が難しくなるのは、移行作業そのものより、移行後の運用設計を作り直す局面です。棚卸しやリンクの差し替えは社内で完結できますが、VOOMが担っていたリーチをどこで補うかという判断は、他SNSや広告の知見がないと精度が出ません。ここでは外部の力を借りる価値が高い状況を整理します。

社内に動画制作リソースが残っていない場合

VOOM向けに動画を制作していた体制が、終了とともに解散してしまうケースがあります。担当者が兼務で撮影・編集をしていた企業では、投稿先がなくなった時点で制作そのものが止まり、他SNSへの転用も進まないまま数か月が過ぎるという流れになりがちです。制作を止めないことが移行対応の実質的なゴールになります。制作の習慣が一度途切れると、再開のハードルは想像以上に高くなります。

ハーマンドットでは、SNS運用代行とインフルエンサーマーケティングの両面から企業アカウントの支援を行っており、縦型動画の企画・制作から投稿・分析までを一貫して引き受けています。VOOM終了で行き場を失った制作の流れを、InstagramリールやTikTokへ振り替えて継続させるという形の相談は、発表以降に増えている類型です。既存素材の棚卸しから入るため、ゼロから作り直す必要はありません。

複数SNSへの分散と予算配分を見直したい場合

LINE一本に依存していた企業にとって、今回の件はプラットフォームリスクが表面化した出来事でもあります。運営元の判断ひとつで、積み上げた接点が数か月の予告で消えるということが実際に起きました。特定の面に依存しない設計へ組み替えるなら、どのSNSを何本立てるか、限られた工数と予算をどう配分するかという全体設計から考える必要があります。

この判断には、業種ごとの成果傾向と、各プラットフォームの現在の反応の取れ方を知っていることが前提になります。運用代行会社に相談する価値が最も高いのは、個別の投稿制作ではなく配分の設計です。初回のご相談では、現状のアカウントを拝見したうえで、VOOM終了の影響度と優先的に手を打つべき領域を整理してお伝えしています。

依頼先を比較検討する段階であれば、運用会社の選び方をまとめた記事もあわせてご覧ください。

まとめ

LINE VOOMの提供終了は2026年9月30日ですが、企業担当者にとっての実質的な締切は8月下旬と9月16日にあります。分析データの取得期限が9月16日であること、投稿素材が公式アカウント向けのバックアップ対象外であることを踏まえると、8月中に棚卸しとデータ退避を終えられるかどうかが分かれ目です。手を動かす順序さえ間違えなければ、対応そのものは決して重い作業ではありません。

  • 8月中に数値と素材を退避する。分析メニューは9月16日に削除され、公式アカウントの投稿は個人向けバックアップの対象外。取り逃がすと社内に記録が残らない
  • フォロワーは友だちに引き継がれない。終了までに友だち追加を促す告知を出し、レポート上はフォロワー数を9月で計測終了として扱う
  • 代替は一機能では埋まらない。新しい投稿機能・リッチメニュー・友だち追加導線・他SNSへの転用の四方向に分けて再設計する

今回の変更は、特定のプラットフォームに接点を集中させることのリスクをあらためて示す出来事でもあります。VOOM終了への対応を、単なる後始末ではなく、自社の顧客接点全体を点検し直す機会として使えるかどうかで、来年以降の運用の強さは変わってきます。

まずは無料でSNSアカウント診断を

ハーマンドットでは、LINE公式アカウントを含む企業SNSアカウントの現状診断を無料で承っています。VOOM終了の影響がどこに及ぶのか、自社の依存度はどの程度なのか、代替導線として何から着手すべきなのかを、実際のアカウントを拝見したうえで整理してお伝えします。移行作業の優先順位が付けられずに止まっている段階でも構いません。

診断では、リッチメニューや友だち追加導線の設計、他SNSへの素材転用の可否まで含めて確認します。9月30日という期限が迫るなかで、限られた工数をどこに集中させるべきかという判断材料をお渡しすることが目的です。ご相談の結果、社内対応で十分と判断される場合はその旨をお伝えしますので、お気軽にご利用ください。初回相談は完全無料・所要時間30分・オンライン対応可能です。

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