LINEリッチメニュー改善術|タップ導線を整理して迷わない画面を作る方法

LINE公式アカウントのトーク画面を開いたとき、画面下部に大きく表示されるのがリッチメニューです。友だちが毎回目にする場所でありながら、「とりあえず6分割で全部入れた」「作ったまま半年以上そのまま」という状態のアカウントは少なくありません。
リッチメニューの成果を左右するのは、見た目の美しさよりも「どのボタンを、どの位置に、いくつ置くか」というタップ導線の設計です。予約・FAQ・クーポン・商品一覧・問い合わせといった候補の中から、ユーザーが迷わず次の行動に進める順番を決めることが、クリック率と来店・購入につながります。
この記事では、2026年9月時点のLINE公式アカウントの仕様をふまえながら、LINEリッチメニューの作り方を「導線設計」の視点から解説します。面数別のレイアウト、業種別の置き方、分析画面を使ったABテスト、よくある失敗の直し方まで、SNS運用を支援しているハーマンドットの実務視点で整理しました。
この記事の要点
- リッチメニューはトーク画面下部に常設される導線で、配信通数を消費せずに毎回表示される
- 設計の順番は「アカウントの目的→ユーザーの行動→利用頻度→配置」で、見た目は最後に決める
- ボタン数は多いほど良いわけではなく、主役1つと脇役2〜5つの構成が迷いにくい
- 管理画面の分析でエリア別のクリック率が見られるため、1回に1要素ずつ変えて検証する
LINEリッチメニューとはトーク画面の常設導線
LINEリッチメニューとは、LINE公式アカウントのトーク画面下部に固定表示される画像付きのメニューで、タップするとWebサイトやクーポン、キーワード送信などのアクションを実行できる機能です。メッセージ配信と違い、友だちがトーク画面を開くたびに表示されるうえ、表示やタップで配信通数を消費しないため、無料プランを含むすべてのプランで利用できます。
配信メッセージが「こちらから届けるプッシュ型」の接点だとすると、リッチメニューは「ユーザーが自分から探しに来たときに受け止めるプル型」の接点です。予約したい、営業時間を知りたい、クーポンを使いたいといった目的を持ってトークを開いた人に、最短で答えを返せるかどうかがリッチメニューの役割だといえます。
配信メッセージとの役割の違い
配信メッセージは、届いた瞬間には注目されても、時間がたつとトーク履歴の中に埋もれていきます。一方のリッチメニューは、配信から何日たっても同じ位置に表示され続けるため、「いつでも戻ってこられる入口」として機能します。つまり、配信で興味を持ってもらい、実際の行動はリッチメニューで受け止めるという役割分担が成り立ちます。
この役割分担を意識すると、リッチメニューに置くべきものが見えてきます。一時的な告知は配信に任せ、リッチメニューには友だちが繰り返し使う機能や、購入・予約といった最終行動につながる入口を置くのが基本です。告知ばかりを並べると、配信と同じ情報が二重に表示されるだけで、常設導線としての価値が薄れてしまいます。
押さえておきたい基本仕様
LINEヤフー for Businessの公式マニュアルによると、2026年9月時点でLINE Official Account Managerから作成するリッチメニューの画像は、大サイズが2500×1686px、小サイズが2500×843pxを基本とし、形式はJPG・JPEG・PNG、容量は1MB以下です。解説記事の中には容量上限を異なる値で紹介しているものもあるため、入稿前には公式の最新マニュアルで確認してください。
| 項目 | 内容(2026年9月時点) |
|---|---|
| 画像サイズ | 大:2500×1686px/小:2500×843px(ほか縮小サイズのパターンあり) |
| ファイル形式・容量 | JPG・JPEG・PNG、1MB以下 |
| 分割数 | テンプレートにより1〜最大6エリア |
| アクション | リンク、クーポン、テキスト(キーワード送信)、ショップカードなど |
| メニューバー | 画面下部の開閉ボタンの文言を設定可能(14文字まで) |
| 表示期間 | 期間指定が可能。期間が重複するメニューは保存できない |
なお、すべてのエリアを「アクションなし」にすることはできません。また、Messaging APIや外部の拡張ツールを使えば、タブ切り替えやユーザーごとの出し分けといった管理画面だけではできない表現も可能になります。まずは管理画面の標準機能で導線を整え、足りない部分だけを拡張するのが無理のない進め方です。LINE公式アカウント全体の設計から見直したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
迷わないタップ導線は優先順位の設計で決まる
迷わないリッチメニューを作る最大のポイントは、ボタン候補に優先順位をつけ、最も押してほしい1つを主役として大きく置くことです。候補を全部同じ大きさで並べると、ユーザーはどれを押せばよいか判断できず、結局どれも押さずにトークを閉じてしまいます。
支援現場では、デザインを先に作り始めてしまい、後から「このボタンは本当に必要だったのか」と議論が戻るケースがよく見られます。見た目の検討は最後にして、まずは紙やスプレッドシートの上で、何をどの順番で置くかを言語化するほうが結果的に早く仕上がります。
目的からユーザー行動を逆算する
最初に決めるのは、そのLINE公式アカウントで達成したいゴールです。来店予約を増やしたいのか、ECの購入につなげたいのか、問い合わせ対応を減らしたいのかによって、主役にすべきボタンはまったく変わります。ゴールが決まったら、友だちがそのゴールにたどり着くまでに取る行動を書き出し、行動の直前に必要な情報を洗い出します。
たとえば予約がゴールなら、「予約する」ボタンが主役になり、その手前で迷いやすい「料金」「アクセス」「空き状況」が脇役になります。ゴールと関係の薄いSNSリンクや会社概要は、置くとしても最も目立たない位置で十分です。
候補を洗い出すときの視点
ボタン候補を洗い出すときは、社内の「見せたいもの」だけでなく、友だちから実際に届いている質問や問い合わせを材料にするのが効果的です。チャットで何度も聞かれている内容は、そのままリッチメニューに置く価値がある候補であり、ボタン化することで対応の手間も減らせます。
店舗であればスタッフが電話や店頭で受けている質問、ECであればカスタマーサポートへの問い合わせ内容も参考になります。こうした現場の声を集めてから優先順位をつけると、担当者の思い込みではなく、ユーザーの需要にもとづいたメニューになります。
利用頻度と重要度で配置を決める
候補が出そろったら、「ビジネス上の重要度」と「ユーザーが使う頻度」の2軸で並べ替えます。重要度も頻度も高いものは左上や大きなエリア、重要度は高いが頻度が低いものは中段、頻度だけ高いFAQ系は右下など、役割に応じて置き場所を決めていきます。
| 分類 | 該当しやすいボタン | 推奨する置き方 |
|---|---|---|
| 重要度高・頻度高 | 予約、商品一覧、クーポン | 主役として最大エリア・左上 |
| 重要度高・頻度低 | 会員登録、キャンペーン応募 | 中段に置き、期間限定で差し替え |
| 重要度低・頻度高 | 営業時間、アクセス、FAQ | 右側や下段にまとめる |
| 重要度低・頻度低 | 会社概要、SNSリンク | 置かない、またはリンク先内に集約 |
ここで「重要度低・頻度低」に分類されたボタンは、思い切って外すのが基本です。1つ減らすだけで他のボタンの面積が広がり、文字も大きくできるため、全体の押しやすさが上がります。
優先順位は一度決めたら終わりではありません。新サービスの開始や繁忙期の到来など、ビジネスの状況が変われば重要度も変わります。四半期に一度はこのマトリクスを見直し、主役のボタンが今のゴールに合っているかを確認する習慣をつけておくと、リッチメニューが実態とずれていくのを防げます。
面数別に見るレイアウトの選び方
リッチメニューの分割数は、置きたいボタンの数ではなくユーザーに選ばせたい選択肢の数で決めるのが正解です。管理画面のテンプレートは大サイズで最大6分割、小サイズで最大3分割まで用意されていますが、分割数が増えるほど1エリアあたりの面積は小さくなり、文字も読みにくくなります。
小サイズはトーク画面を広く残せるため、会話型の問い合わせが多いアカウントや、配信メッセージを読んでもらうことを優先したいアカウントに向いています。一方、大サイズは情報量を持たせやすく、店舗やECのように複数の入口を用意したいケースで選ばれることが多い形式です。
迷った場合は、大サイズで始めて分析画面のデータを見ながら調整する方法がおすすめです。ほとんどのクリックが1〜2エリアに集中していると分かれば、小サイズの2〜3分割に切り替えても導線はほぼ損なわれず、トーク画面の見やすさを取り戻せます。
| レイアウト | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 1分割(全面) | キャンペーン期間、単一商材のLP誘導 | 他の導線が消えるため期間限定で使う |
| 2〜3分割 | 予約・問い合わせなど目的が明確な店舗 | 小サイズでも運用しやすい |
| 大1+小2〜3 | 主役を強調したい多くのアカウント | 最も迷いにくい構成 |
| 4分割 | カテゴリが均等な情報提供型 | 主役が埋もれないよう色で差をつける |
| 6分割 | ECや多店舗で入口が多い場合 | 文字が小さくなりやすく、項目の厳選が必要 |
主役1つと脇役で構成する
迷いにくさを重視するなら、上段に横長の大きなエリアを1つ、下段に小さなエリアを2〜3つ並べる「大1+小」の構成が扱いやすいでしょう。視線は画面の上や左から入ることが多いため、主役を上段に置くだけで押してほしい行動が自然に伝わります。
均等な6分割は一見すると情報が整理されているように見えますが、すべてのボタンが同じ重みで並ぶため、優先順位が伝わりません。6つ置く必要がある場合でも、主役のエリアだけ背景色を変える、アイコンを大きくするなど、視覚的な強弱をつけることが大切です。
ボタン数を減らす判断基準
ボタンを減らすか迷ったときは、「そのボタンがなくなったら、ユーザーは困るか」を基準に考えます。Webサイトのトップページに行けば見つかる情報や、問い合わせで個別に答えれば済む情報は、リッチメニューの一等地を使うほどの価値がないことがほとんどです。
また、FAQや営業時間のように細かい情報が複数ある場合は、「よくある質問」という1つのボタンにまとめ、リンク先やキーワード送信の応答メッセージで詳細を案内する方法もあります。入口を絞り、その先で枝分かれさせる考え方です。
ボタンを外すことに社内で抵抗がある場合は、まず候補から外したメニューを1か月ほど運用し、問い合わせや不満が増えないかを確認してみてください。外しても困る人がいなければ、そのボタンは最初から不要だったと判断できます。自社だけで設計や改善を進めるのが難しい場合は、ハーマンドットの無料相談で現状のアカウントを一緒に確認することもできます。
業種別に見るタップ先の置き方
業種ごとの最適な配置は、ユーザーがトークを開く理由から逆算すると見えてきます。飲食店なら「今日行けるか」、美容サロンなら「空いている枠」、ECなら「新作やセール」というように、開いた瞬間に知りたいことが業種によって異なるためです。
以下は、業種別に主役と脇役を整理した一例です。自社の状況に合わせて組み替える前提で、たたき台として使ってください。
| 業種 | 主役のボタン | 脇役のボタン |
|---|---|---|
| 飲食店 | ネット予約・席の確認 | メニュー、クーポン、アクセス |
| 美容サロン | 予約(空き枠確認) | メニュー・料金、スタイル事例、ショップカード |
| EC・D2C | 新作・セール一覧 | ランキング、注文履歴、問い合わせ |
| スクール・教室 | 体験レッスン申込 | コース紹介、時間割、よくある質問 |
| BtoB・士業 | 資料ダウンロード・相談予約 | サービス紹介、導入の流れ、セミナー情報 |
店舗型ビジネスの置き方
飲食店や美容サロンなどの店舗型では、予約導線を主役にし、来店の判断材料になるメニュー・料金・アクセスを脇に添えるのが定番です。リピーターが多い店舗であれば、ショップカードやクーポンを脇役に加えることで、来店のたびにトーク画面を開く習慣を作れます。
注意したいのは、予約ボタンのリンク先です。予約システムのトップページに飛ばすと、そこから店舗やメニューを選び直す手間が発生します。可能であれば予約画面の最初のステップに直接つなぐことで、タップ後の離脱を減らせます。
EC・BtoBの置き方
ECやD2Cでは、新作やセールといった「今だけの情報」が主役になりやすく、キャンペーンに合わせて主役エリアの画像を差し替える運用が向いています。表示期間を設定しておけば、セール終了と同時に通常メニューへ戻せるため、切り替え忘れも防げます。
商品数が多いECでは、6分割を使ってカテゴリの入口を並べたくなりますが、カテゴリ分けはリンク先のサイトに任せ、リッチメニューでは「新作」「セール」「ランキング」のように切り口の異なる入口を置くほうが迷いにくくなります。
BtoBや士業の場合は、友だちの検討期間が長いため、資料や事例など「すぐに決めなくても触れられる情報」を多めに置き、相談予約へ段階的に進める設計が合っています。
スクール・教室の置き方
スクールや習い事の教室では、体験レッスンの申込を主役に置き、コース内容や料金、時間割を脇役にする構成が基本です。入会前の友だちは「自分に合うか」「通い続けられるか」を気にしているため、講師紹介や受講生の声など、不安を和らげる情報への入口もあると効果的です。
すでに通っている生徒と入会前の見込み客が同じアカウントに混在している場合は、両者のニーズがぶつかりやすくなります。管理画面だけで出し分けが難しいときは、振替予約や休講情報など在籍者向けの機能を1つのボタンにまとめ、見込み客向けの導線を優先して配置するのが現実的です。
ここまで紹介した業種別の配置は、あくまでも出発点です。LINE公式アカウントのプロフィール画面とリッチメニューの役割分担も含めて、導線全体で考える視点を持っておきましょう。プロフィール画面の活用法は以下の記事で詳しく解説しています。
迷いを減らすデザインの作り方
リッチメニューのデザインで最も大切なのは、スマートフォンの小さな画面で一瞬で読めることです。パソコンの大きなモニターで作業していると、文字の小ささや情報の詰め込みすぎに気づきにくいため、必ず実機のトーク画面で表示を確認してから公開します。
デザインツールは、管理画面の画像作成機能、Canvaなどの汎用ツール、デザイナーへの外注のいずれでも構いません。重要なのはツールの選択よりも、前の章で決めた優先順位が画面上で正しく表現されているかどうかです。
文字とアイコンの考え方
各エリアの文字は、「予約する」「クーポンを見る」のように動詞で終わる短い言葉にすると、押した後に何が起きるかが伝わりやすくなります。「Reservation」「Info」のような英語だけの表記や、抽象的な「こちら」「詳細」といった言葉は、タップ先が想像しにくいため避けたほうが無難です。
アイコンは文字の補助として使い、アイコンだけで意味を伝えようとしないことがポイントです。また、エリアの境界線が分かりにくいと、隣のボタンを誤ってタップしてしまうことがあります。区切り線や背景色の違いでタップ範囲を明確にするだけで、誤タップは大きく減らせます。
色とブランドイメージの整え方
色はブランドカラーを基調にしつつ、主役のボタンだけにアクセントカラーを使うと、優先順位が視覚的に伝わります。すべてのエリアに異なる色を使うと、にぎやかに見える一方で、どれが大事なのかが分からなくなります。使う色は3色程度に抑えるのが目安です。
写真を使う場合は、文字が写真に埋もれないよう、半透明の帯を敷くなどして可読性を確保します。また、画面下部のメニューバー付近は指やボタンと重なりやすいため、重要な文字やアイコンは少し内側に寄せて配置しておくと安心です。
メニューバーの文言も導線の一部
リッチメニューの下にあるメニューバーは、メニューを開閉するボタンであり、閉じているときにはユーザーが目にする唯一の案内になります。初期設定の「メニュー」のままにせず、14文字以内で「予約・クーポンはこちら」のように中身が分かる文言に変えるだけでも、開いてもらえる確率は変わります。
あわせて、トーク画面に入ったときにメニューを自動で開いておく設定も確認しておきましょう。メニューを開いた状態を初期表示にすると、配信メッセージの一部が隠れる一方で、メニューの存在には気づいてもらいやすくなります。どちらを優先するかは、アカウントの目的に合わせて判断してください。
公開前の確認ポイント
- 実機のトーク画面で、各エリアの文字が無理なく読めるか
- 主役のボタンが一目で分かる大きさ・色になっているか
- すべてのリンク先がスマートフォン表示に対応しているか
- 画像が1MB以下で、指定サイズに合っているか
- メニューバーの文言が中身を表しているか
管理画面でのリッチメニューの作り方
リッチメニューは、LINE Official Account Managerの「リッチメニュー」からテンプレート選択→画像設定→アクション設定→表示設定の流れで作成できます。ここまでの設計が済んでいれば、管理画面での作業自体は短時間で終わります。
作成画面では、まずタイトル(管理用の名前)と表示期間を入力します。タイトルはユーザーには表示されないため、「通常メニュー_予約主役版」のように、後から見返したときに中身と目的が分かる名前にしておくと、ABテストや差し替えの管理がしやすくなります。
テンプレートと画像の設定
次に、決めておいたレイアウトに合うテンプレートを選び、画像をアップロードします。テンプレートのエリア区切りと画像のデザインがずれていると、見た目のボタンと実際のタップ範囲が一致しなくなるため、画像を作る段階でテンプレートの区切り位置を下敷きにしておくことが重要です。
画像を用意できない場合は、管理画面内の画像作成機能で背景色や文字を組み合わせて作る方法もあります。まずは簡易的な画像で導線を公開し、反応を見ながらデザインを作り込むという順番でも問題ありません。
アクションと表示期間の設定
各エリアには、リンク・クーポン・テキスト・ショップカードなどのアクションを割り当てます。テキストを選ぶと、タップ時にユーザーから指定のキーワードが送信されるため、応答メッセージと組み合わせてFAQや案内を返す使い方ができます。リンクにはUTMパラメータを付けておくと、Webサイト側のアクセス解析でリッチメニュー経由の流入を区別できます。
テキストアクションを使う場合は、送信されるキーワードに対応する応答メッセージを必ず先に用意しておきます。応答が未設定のままだと、タップしても何も返ってこず、ユーザーは不具合だと感じてしまいます。応答メッセージには詳細ページへのリンクや次に押してほしいボタンの案内を添え、会話の流れの中で次の行動へ進めるようにしておくと、キーワード送信の強みを生かせます。
表示期間は、期間が重複するリッチメニューを保存できない仕様のため、キャンペーン用と通常用を切り替える場合は日時をずらして設定します。通常メニューの表示期間を長めに取り、キャンペーン期間だけ別のメニューを差し込む場合は、通常メニューの期間をいったん区切って前後に分ける必要がある点にも注意してください。
実務では、年間を通じて使う通常メニューと、季節やセールに合わせたキャンペーンメニューを最初から分けて作っておくと管理が楽になります。画像のテンプレートを共通化しておけば、主役エリアの画像だけを差し替えるだけで済むため、制作の負担も抑えられます。作成や改善を自社で回すか外部に任せるかで迷う場合は、運用代行の費用感を先に把握しておくと判断しやすくなります。
公開後の動作確認
保存して公開したら、担当者自身のスマートフォンでトーク画面を開き、すべてのエリアを実際にタップして動作を確認します。管理画面のプレビューでは問題がなくても、実機ではタップ範囲が想定とずれていたり、リンク先がログイン画面で止まったりすることがあるためです。全エリアのタップ確認は公開のたびに必ず行うようにしましょう。
iPhoneとAndroidの両方で表示を確認できると理想的です。端末によって画面の縦横比が異なるため、文字の見え方や余白の印象が変わることがあります。社内で複数の端末を持ち寄って確認するだけでも、公開後の修正の手間を減らせます。
確認の際は、自分だけでなく、リッチメニューの制作に関わっていない社員にも触ってもらうのがおすすめです。事前知識のない人が迷わず目的のボタンを押せるかどうかは、実際の友だちの使い勝手に近い判断材料になります。
分析画面を使ったABテストと改善サイクル
リッチメニューの改善は、管理画面の「分析」にあるエリア別のクリック率を見ながら、1回に1つの要素だけを変えて比較するのが基本です。LINEヤフー for Businessの公式マニュアルによると、2026年9月時点ではインプレッション、インプレッションユーザー、クリック、クリックユーザー、クリック率を確認でき、設定期間のデータはCSVでダウンロードできます。
ただし、指定期間にクリックした人数が20人未満の場合は数値が表示されません。また、Messaging APIで設定したリッチメニューは分析画面に統計情報が表示されないため、外部ツールで作成している場合はツール側の計測やUTMパラメータで効果を追う必要があります。友だち数が少ないうちは、集計期間を長めに取って判断することを意識してください。
テストすべき項目の優先順位
ABテストでは、影響が大きい要素から順に検証します。最初に試すべきは主役ボタンの内容と位置で、次に文言、色やアイコンなどの見た目、最後にメニューバーの文言という順番が効率的です。複数の要素を同時に変えると、どの変更が効いたのか分からなくなります。
| テスト項目 | 比較の例 | 見る指標 |
|---|---|---|
| 主役の内容 | 予約を主役にする案とクーポンを主役にする案 | 主役エリアのクリック率と最終成果 |
| 配置 | 予約ボタンを左上に置く案と右上に置く案 | エリア別クリック数 |
| 文言 | 「予約」と「空き状況を見る」 | 該当エリアのクリック率 |
| 分割数 | 6分割と大1+小3 | 全体のクリックユーザー数 |
| メニューバー | 「メニュー」と「予約・クーポンはこちら」 | インプレッションの変化 |
期間比較で検証するときの注意点
管理画面の標準機能では、同時に2種類のリッチメニューをランダムに出し分けることはできないため、実務では「前半2週間はA案、後半2週間はB案」のように期間を分けて比較するのが一般的です。この場合、配信内容やキャンペーン、季節要因が結果に影響するため、比較期間中は大きな配信施策を重ねないよう調整します。
クリック率だけで良し悪しを判断しないことも大切です。クリック率が上がっても、リンク先で予約や購入に至らなければ意味がありません。支援現場では、リッチメニューのクリックと、その先のWebサイトや予約システムでの成果をセットで確認する運用が定着しているアカウントほど、改善の判断がぶれにくい傾向があります。
結果の読み方と次の一手
テストの結果、主役エリアのクリック率が上がり、その先の成果も増えていれば新しい案を採用します。クリック率に大きな差がない場合は、変えた要素が成果に影響していないと考え、次の項目の検証に進みます。差が小さいまま同じ要素を何度も試すより、検証項目を切り替えたほうが改善のスピードは上がります。
検証の記録は、実施期間・変更点・結果・判断をスプレッドシートなどに残しておきましょう。担当者が変わっても過去の検証を踏まえて次の手を考えられるため、同じ失敗を繰り返さずに済みます。
リンク先の計測を組み合わせる
LINEの分析画面で分かるのは、あくまでリッチメニュー上のタップまでです。その先で予約や購入が発生したかどうかは、リンクに付けたUTMパラメータをもとに、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールで確認します。エリアごとに異なるパラメータを付けておけば、どのボタン経由の成果が大きいかまで追えるようになります。
予約システムやECカートが外部サービスの場合は、そのサービスの管理画面で流入元を確認できるかも事前に調べておきましょう。計測の仕組みを公開前に整えておくことで、テスト期間が終わってから「成果が分からない」という事態を避けられます。
よくある失敗と原因別の直し方
リッチメニューの失敗は、ほとんどが設計段階の優先順位づけ不足か、公開後の放置のどちらかに原因があります。見た目の問題に見えても、原因をたどると「何を押してほしいか」が決まっていないことが多いため、症状から原因を切り分けて直すことが近道です。
よくある失敗パターン
- 全ボタンが同じ大きさで、押してほしい行動が伝わらない
- 終了したキャンペーンの画像が表示されたままになっている
- リンク先がPC向けページやトップページで、目的の情報に届かない
- 文字が小さく、スマートフォンでは読めない
- テキストアクションに対応する応答メッセージが未設定
クリックされないときの見直し方
全体のクリック率が低い場合は、まずメニューが開かれているかを疑います。メニューバーの文言が「メニュー」のままだったり、初期表示が閉じた状態になっていたりすると、そもそもボタンが見られていない可能性があります。インプレッションが少ないときは、デザインよりも表示のされ方を先に見直します。
インプレッションは十分なのに特定のエリアだけ押されない場合は、そのボタンの需要自体が低いか、文言からタップ先が想像できないかのどちらかです。前者なら外して他のボタンに面積を回し、後者なら動詞で終わる具体的な文言に変えて再検証します。
分割数が多すぎる場合も、個々のエリアが小さくなって押されにくくなります。エリア別のクリック数に大きな偏りがあり、ほとんど押されていないエリアが複数あるなら、分割数を減らして主役を大きくする構成に切り替えるのが有効です。
放置による劣化を防ぐ
公開直後は問題がなくても、時間がたつにつれてリッチメニューは少しずつ劣化していきます。終了したキャンペーンの画像、価格改定前の料金表、閉店した店舗へのリンクなどが残っていると、ユーザーの信頼を損ねるだけでなく、問い合わせ対応の手間も増えてしまいます。
こうした劣化を防ぐには、キャンペーン用のメニューを作るときに必ず表示期間を設定し、終了後は通常メニューへ自動で戻る状態にしておくことが基本です。そのうえで、次の章で紹介する定例の点検で、通常メニューの内容も定期的に見直していきます。
押された後に離脱しているときの見直し方
クリックはされているのに成果につながらない場合は、リンク先の体験に問題があります。タップしてから目的の画面にたどり着くまでのステップ数を数え、余計な画面遷移があれば直接つなぐ形に変更します。キーワード送信で案内している場合は、応答メッセージが長すぎないか、次の行動が示されているかも確認します。
また、友だち追加直後のユーザーは、リッチメニューの使い方をまだ知りません。あいさつメッセージで「下のメニューから予約できます」と一言添えるだけでも、初回の迷いは減らせます。リッチメニュー単体ではなく、あいさつメッセージと組み合わせて導線を作ることがポイントです。友だち追加の入口から初回接点までの設計は、以下の記事が参考になります。
改善を続けるための運用体制
リッチメニューで成果を出し続けるには、月1回程度の定例で分析画面を確認し、差し替えの要否を判断する仕組みを作ることが欠かせません。一度作って終わりにしてしまうと、季節や商品構成の変化に導線が追いつかず、気づかないうちにクリック率が落ちていきます。
運用体制を作る際は、分析の確認担当、画像の制作担当、リンク先の更新担当を明確にしておくことが大切です。特にキャンペーン用の差し替えは、表示期間の設定まで含めて誰が責任を持つのかを決めておかないと、終了したキャンペーンの画像が残り続ける原因になります。
定例で確認したい項目
定例では、前月と比べたエリア別のクリック率の変化、リンク先での成果、表示中のキャンペーン画像の期限、リンク切れの有無を確認します。特にリンク切れは、Webサイトのリニューアルや予約システムの変更で気づかないうちに発生しやすく、リンク先の変更があったときはリッチメニューも同時に点検するルールにしておくと安心です。
あわせて、季節ごとの需要の変化も確認しておきましょう。年末年始の営業案内や夏季の限定メニューなど、時期によって主役にすべきボタンは変わります。年間の販促カレンダーとリッチメニューの差し替え予定を並べて管理しておくと、準備の遅れを防げます。
内製と外部パートナーの使い分け
リッチメニューの作成自体は管理画面で完結するため、内製でも十分に対応できます。一方で、導線設計やABテストの設計、配信施策との連動まで含めて改善を回すには、LINE公式アカウント全体を見渡す知見と工数が必要です。社内にその余力がない場合は、設計と分析だけを外部に任せ、日々の更新は社内で行うといった分担も選択肢になります。
外部パートナーを選ぶ際は、デザイン制作だけでなく、分析画面のデータをもとに改善提案まで行ってくれるかを確認しましょう。ハーマンドットでも、リッチメニューを含むLINE公式アカウントの導線設計から改善までを支援しています。自社の状況を相談したい方は無料相談フォームからお問い合わせください。支援会社の比較ポイントは以下の記事にまとめています。
まとめ:リッチメニューは優先順位で設計する
LINEリッチメニューは、友だちがトーク画面を開くたびに目にする常設の導線です。見た目を整える前に、アカウントの目的から主役のボタンを1つ決めることが、迷わない画面づくりの出発点になります。公開後は分析画面のエリア別データを確認し、1回に1要素ずつ改善を重ねていきましょう。
- ボタン候補は重要度と利用頻度で並べ、主役1つと脇役で構成する
- 分割数は選ばせたい選択肢の数で決め、業種ごとの「開く理由」に合わせて配置する
- 分析画面のクリック率とリンク先の成果をセットで見て、差し替えを継続する
まずは無料でSNSアカウント診断を
「リッチメニューを作ったものの、どのボタンが押されているのか分からない」「導線を見直したいが、何から手をつければよいか判断できない」という方は、ハーマンドットの無料アカウント診断をご活用ください。LINE公式アカウントの現状を確認し、優先して直すべき導線のポイントを整理してお伝えします。
リッチメニューの設計だけでなく、あいさつメッセージや配信設計、ほかのSNSとの連携まで含めて、成果につながる導線づくりをサポートします。初回相談は完全無料・所要時間30分・オンライン対応可能です。




