LinkedInショーケース活用法|事業ライン別に発信先を切り分ける設計

製造装置とクラウドサービス、人材紹介と研修事業のように、複数の事業や商材を持つBtoB企業がLinkedInの企業ページを1つだけで運用していると、投稿のテーマが毎回変わってしまいます。ある日は工場の設備担当者向けの技術解説、翌日は人事部長向けのセミナー告知、その次は採用広報という具合に話題が混ざり、どの読者にとっても「自分向けのページ」に見えなくなっていきます。

その結果、フォローしてくれた見込み客が関心のない投稿ばかり目にして反応しなくなり、担当部署からは「うちの事業の投稿が埋もれる」という不満が出ます。発信量を増やしても成果が伸びないのは、投稿の質より先に、発信先の設計が読者の分かれ方と合っていないことが原因である場合が少なくありません。

本記事では、LinkedIn公式が用意している「ショーケースページ(Showcase Page)」を使い、事業ライン別・製品別に発信先を切り分ける設計方法を解説します。結論から言えば、ショーケースページは「読者も購買の流れも明確に異なる事業」にだけ作り、親ページとの役割分担を最初に決めておくことが成功の条件です。

この記事の要点

  • ショーケースページは企業ページにぶら下がる、事業・ブランド・取り組み別の子ページ
  • 2026年10月時点の公式ヘルプでは、親ページのスーパー管理者が1ページあたり最大25まで作成できる
  • 作るべきなのは読者・商材・購買の流れが明確に違い、専任の投稿担当を置ける事業だけ
  • 親ページは会社全体の信頼と採用、ショーケースは事業別の見込み客育成と役割を分ける
  • フォロワーはゼロから育てるため、半年単位で継続か統合かを判断する

LinkedInショーケースページの基本と企業ページとの違い

LinkedInのショーケースページとは、企業ページ(親ページ)に紐づけて作る子ページで、特定のブランド・事業部・取り組みを独立したページとして発信するための機能です。LinkedIn公式ヘルプの「Showcase Pages FAQ」では、ショーケースページはブランド、事業部門、組織の取り組みを表すためのもので、短期的なマーケティングキャンペーン向けではないと説明されています。

見た目は通常の企業ページとほぼ同じで、独自のロゴ、カバー画像、紹介文、投稿フィードを持ち、利用者は親ページとは別にフォローできます。親ページの「関連ページ」として表示されるため、会社全体を知りたい人も、特定の事業だけを追いたい人も、それぞれに合った入口からたどり着ける構造になります。

よく似た機能に、子会社を表す「関連会社ページ」や製品そのものを紹介する「製品ページ」がありますが、ショーケースページは同じ会社の中の事業や取り組みを独立した発信面として育てる点が異なります。法人格が別の子会社を表したいのか、自社内の事業ラインを見せ分けたいのかによって、使うべきページの種類が変わることを押さえておきましょう。

2026年10月時点の主な仕様

2026年10月20日時点で公式ヘルプ「Create a LinkedIn Showcase Page」を確認すると、作成できるのは親ページのスーパー管理者だけで、1つの親ページにつき最大25ページまで作れます。また1つのショーケースページが紐づけられる親ページは1つのみです。海外の解説記事には「最大10ページ」と書かれたものが今も残っていますが、これは古い情報なので計画の前提にしないよう注意してください。

公式FAQでは、ショーケースページでも分析機能、投稿のスポンサー配信、フォロワーとの交流が使えるとされています。つまり投稿・広告・効果測定という運用の基本機能はそろっており、規模の小さい事業でも「ミニ企業ページ」として十分に機能します。主な違いを整理すると次のとおりです。

項目企業ページ(親ページ)ショーケースページ
役割会社全体の顔・信頼の土台事業・ブランド・取り組み単位の発信
作成できる人会員が新規作成親ページのスーパー管理者のみ
作成数1社1ページが基本親ページあたり最大25
フォロワー会社全体に関心のある人ゼロから個別に獲得
求人・採用親ページで扱う親ページ側で扱う前提で設計
URLlinkedin.com/company/〜linkedin.com/showcase/〜

注意したいのは、ショーケースページを作っても親ページのフォロワーは自動で引き継がれない点です。新しいページはフォロワーゼロから始まるため、作った直後は親ページより届く人数が少なくなります。この初期の不利を受け入れてでも切り分ける価値があるかどうかが、次の章で扱う判断の中心です。企業ページそのものの投稿設計を先に固めたい場合は、以下の記事が参考になります。

ショーケースページを作るべき企業と作らない方がよい企業

ショーケースページを作るべきなのは、事業ごとに読者の職種・業界・購買の流れが明確に異なり、なおかつ事業ごとに継続して投稿できる担当がいる企業です。逆に、読者がほぼ同じで商材だけが違う場合は、親ページの中でシリーズ投稿として分けた方が成果は出やすくなります。

判断の軸は「その事業の投稿を、親ページのフォロワーの大半が関係ないと感じるか」です。たとえば工場向けの設備保守サービスと、経理部門向けのクラウド会計ツールを同じ会社が扱っているなら、読者はほとんど重なりません。一方、同じ情報システム部門に向けてセキュリティ製品とネットワーク製品を売っている場合、読者は共通なので無理に分けるとフォロワーが分散するだけです。

切り分けが効果を出しやすい条件

切り分けが効くのは、親ページで発信したときに「特定の事業の投稿だけ反応が極端に低い」「事業部から自分たちの発信面がほしいと要望が出ている」といった症状がすでに見えているケースです。こうした症状は、読者が分かれているのに発信面が1つしかないことを示すサインと考えられます。

もう1つの条件は、事業ごとに専門的な話題を継続して出せることです。ショーケースページは親ページと同じくらい手入れが必要で、月に数本しか投稿できないページは放置された印象を与えます。投稿の担当者と承認者を事業ごとに決められるかどうかを、作成前に確認しておきましょう。

作る前に確認したい判断基準

  • 読者の職種や業界が親ページの主な読者と明確に違う
  • その事業だけで週1本以上の独自投稿を半年続けられる
  • 事業ごとに投稿担当と承認者を置ける
  • 短期キャンペーンではなく、数年続く事業やブランドである

作らない方がよいケース

反対に、期間限定のキャンペーンや展示会の告知、まだ立ち上げたばかりで投稿ネタが少ない新規事業のためにショーケースページを作るのはおすすめできません。公式FAQでも短期キャンペーン向けではないと明記されており、終了後に更新が止まったページは会社全体の印象を下げてしまいます。

また、社員数が少なくLinkedIn担当が1人しかいない企業も、まずは親ページを充実させることを優先すべきです。複数のページに投稿を分散させると、どのページも中途半端な更新頻度になり、フォロワーがどこにも集まらない状態になりがちです。ページの数より、1ページあたりの発信の濃さを優先してください。

事業ライン別に発信先を切り分ける設計の考え方

発信先の切り分けは、「誰に」「何を」「どの段階で」見せるかを先に表にし、その表に合わせてページを割り当てる順番で設計します。ページを作ってから投稿内容を考えると、事業部ごとの言いたいことが優先され、結局どのページも混線した状態に戻ってしまいます。

最初に行うのは、事業ごとの主な読者を職種・役職・業界で書き出す作業です。次に、その読者が情報を探す段階を「課題に気づく」「解決策を比べる」「導入を決める」の3つに分け、どの段階の情報をLinkedInで届けたいかを決めます。こうして整理すると、親ページで全員に届けるべき情報と、事業別ページで深く届けるべき情報の境目がはっきり見えてきます。

この整理で大切なのは、事業部の組織図ではなく読者の分かれ方でページを割り当てることです。社内では別々の部署が担当している事業でも、同じ読者に向けて販売しているなら1つのショーケースページにまとめた方が、フォロワーにとって価値のある発信面になります。

親ページと事業別ページの役割分担

親ページは会社全体の信頼を積み上げる場として、経営メッセージ、企業文化、採用情報、全社的な受賞やニュースを担当させます。ショーケースページは事業別の見込み客を育てる場として、業界の課題解説、導入事例の考え方、製品の使いこなし方、ウェビナー告知など、特定の読者にとって価値の高い専門情報に集中させます。

この分担を決めておくと、大きなニュースを親ページで発表し、関連する事業のショーケースページで「自社の顧客にとっての意味」を解説し直すといった連携もしやすくなります。同じ話題でも読者に合わせて切り口を変えて出せるため、単純な再投稿ではなく、ページごとに書き直すことを運用ルールにしておくのが理想です。

発信面主な読者担当する情報見るべき指標
親ページ取引先・求職者・業界全体経営方針、企業文化、採用、全社ニュースフォロワー推移、採用ページへの遷移
事業Aのショーケース製造業の設備担当者保守の課題解説、点検の考え方、セミナー告知投稿の反応率、資料請求への遷移
事業Bのショーケース経理・管理部門の責任者業務効率化の知見、法改正の解説、導入の流れ投稿の反応率、問い合わせへの遷移
取り組みのショーケース業界団体・学生・地域サステナビリティや社会貢献の活動報告共有数、メディアからの言及

ページ名と紹介文の付け方

ページ名は「会社名+事業名」の形にすると、親ページとの関係がひと目で伝わり、LinkedIn内で検索されたときにも見つけやすくなります。事業名だけにすると独立した別会社に見えることがあるため、会社としての信頼を引き継ぎたい場合は会社名を残すのが無難です。

紹介文には、そのページが誰に向けて何を発信するのかを1文目で書きます。公式ヘルプの変換ルールでは、ショーケースページの説明文は200文字に制限されると案内されているため、長い会社概要を貼るのではなく「製造業の設備担当者向けに、保守コストを下げる知見を発信します」のように読者と提供価値を短く言い切る書き方が向いています。発信面の設計から自社だけで進めるのが難しい場合は、SNS運用の専門家に設計の段階から相談するのも1つの方法です。

ショーケースページの作成手順と初期設定

ショーケースページは、親ページのスーパー管理者が管理画面の「作成」メニューから数分で作れます。手順自体は簡単ですが、作成後に管理者や紹介文、遷移先を整えないまま投稿を始めると、運用の責任者があいまいになりやすいので、初期設定まで一気に済ませるのが基本です。

2026年10月20日時点の公式ヘルプ「Create a LinkedIn Showcase Page」に沿った手順は、親ページのスーパー管理者画面を開き、左上の「Create」から「Create a Showcase Page」を選び、「Associated organization page」に親ページを指定して必須項目を入力し、「Create page」を押す流れです。なお、スパム防止のため1日に作成できる数には制限があり、エラーが出た場合は24時間以上あけてから再度作成するよう案内されています。

作成直後に決めておく設定

公式FAQによると、ショーケースページを作った人には自動的にスーパー管理者権限が付与されます。作成者がマーケティング部門の担当者であっても、実際の投稿は事業部が行うといったケースは多いため、作成後すぐに事業部側の担当者を管理者に追加し、誰が投稿し誰が承認するのかを明確にしておきましょう。

あわせて、ロゴ・カバー画像・紹介文・ウェブサイトのURL・カスタムボタンを整えます。ウェブサイトのURLは会社のトップページではなく、その事業のサービスページを指定するのがポイントです。事業別のページから会社トップに飛ばすと、せっかく絞り込んだ読者の関心が途切れてしまうため、遷移先まで事業単位でそろえることが重要です。

作成直後のチェック項目

  • 事業部の投稿担当者を管理者に追加したか
  • ページ名に会社名と事業名が入っているか
  • 紹介文の1文目で読者と提供価値を言い切っているか
  • ウェブサイトのURLが事業のサービスページになっているか
  • 親ページから関連ページとして見える状態になっているか

立ち上げ初期のフォロワーの集め方

新しいショーケースページはフォロワーゼロからの出発になるため、立ち上げ直後は親ページの投稿でショーケースページの開設を告知し、関心のある人に移ってもらう導線を作ります。事業部の社員が個人アカウントで開設を紹介し、日頃つながっている顧客や業界関係者に知らせるのも効果的です。

公式FAQでは、ショーケースページの投稿もスポンサー配信できるとされています。事業ごとに狙いたい職種や業界が明確なら、少額の広告で投稿を届けて最初のフォロワーを集める方法も選択肢に入ります。LinkedIn広告の配信設計については、以下の記事で詳しく解説しています。

発信を混線させない投稿設計と運用体制

ページを分けた効果を出すには、ページごとに「扱う話題」と「扱わない話題」を文章で決め、投稿の企画段階でどのページに出すかを振り分ける仕組みを作ることが欠かせません。ルールがないまま運用すると、事業部が自分たちのページに全社ニュースを流したり、親ページに製品告知が戻ってきたりして、すぐに元の混線状態に戻ります。

実務では、月に1回の企画会議で全ページの投稿予定を1つの表にまとめ、話題が重なっていないか、どのページの更新が止まりそうかを確認する方法が扱いやすいでしょう。同じ話題を複数ページで扱う場合は、読者に合わせて切り口を変えた別の投稿として作り直します。同じ文面の使い回しはフォロワーの離脱につながりやすいため避けるべきです。

事業別ページの投稿テーマの作り方

事業別ページの投稿テーマは、その事業の読者が日々の業務で抱えている課題から逆算して決めます。製品の機能紹介ばかりを並べるより、読者の業界で起きている変化の解説、よくある失敗とその避け方、導入を検討するときに社内で確認すべき点など、読者の判断を助ける話題を中心にした方が反応は安定しやすくなります。

テーマを3〜4本の柱に絞り、それぞれをシリーズとして定期的に出すと、フォロワーが「このページを見れば何がわかるか」を理解しやすくなります。たとえば「現場の課題解説」「導入の進め方」「業界ニュースの読み解き」「イベント告知」のように柱を決めておけば、担当者が変わっても発信の軸がぶれにくくなります。

柱を決めたら、どの柱の投稿がどれだけ反応を集めたかを月ごとに記録しておきます。反応の強い柱に投稿を寄せ、弱い柱は切り口を変えるか入れ替えることで、限られた投稿本数でもページの専門性と存在感を少しずつ高めていけます。

少人数でも回る運用体制の組み方

ショーケースページを増やすほど、投稿の作成・確認・公開・分析の作業はページの数だけ増えます。少人数の会社で無理なく回すには、全体の方針と投稿表の管理はマーケティング担当が持ち、投稿の素材となる専門知識は事業部が提供するという分担が現実的です。事業部に文章作成まで任せると、本業が忙しい時期に更新が止まりやすくなります。

それでも社内の手が足りない場合は、投稿の作成や分析を外部に任せる方法もあります。ページを増やすと作業量と費用がどのくらい変わるのかを把握したうえで判断したい場合は、ハーマンドットに運用体制と工数の見積もりを相談していただくこともできます。SNS運用代行の費用感については、以下の記事にまとめています。

成果の見方と見直し・統合の判断

ショーケースページの成果は、フォロワー数の多さではなく、狙った読者に届いているか、そしてサービスページへの遷移や問い合わせにつながっているかで判断します。フォロワーゼロから始めるページは親ページと数字で比べると見劣りしやすいため、比較の基準を最初から分けておくことが大切です。

公式FAQでは、ショーケースページでも分析機能が使えると案内されています。分析画面では、フォロワーの職種や業界の内訳、投稿ごとの反応を確認できるため、まずはフォロワーの属性が想定した読者と一致しているかを確認しましょう。属性が狙いからずれている場合は、投稿テーマか告知の方法を見直す必要があります。

半年ごとの見直しで確認すること

ショーケースページは育つまでに時間がかかるため、作成から半年を目安に継続・改善・統合のいずれかを判断します。確認するのは、更新頻度が守られているか、フォロワーの属性が狙いどおりか、投稿の反応率が親ページの同じ種類の投稿と比べてどうか、事業のサービスページへの遷移が生まれているか、といった点です。

反応はあるものの遷移が少ない場合は、投稿の最後に詳しい資料やセミナーへの案内を入れるなど、次の行動を示す工夫で改善できることがあります。一方で、更新が止まりがちで反応も伸びない場合は、ページを残すより親ページのシリーズ投稿に戻した方が会社全体の発信力は高まります。

変換・非アクティブ化の前に知っておきたい注意点

  • ページの種類の変換はLinkedInサポートへの依頼制で、取り消しはできない
  • 変換時はフォロワー・投稿・カスタムURLが維持される
  • 非アクティブ化できるのはスーパー管理者かLinkedInサポートのみ
  • 非アクティブ化したページは検索結果から消え、完全な削除はできない

統合や独立を選ぶときの考え方

公式ヘルプ「Convert your LinkedIn Page type」によると、ショーケースページを独立した企業ページに変える、または企業ページをショーケースページに変えるといった種類の変更は、スーパー管理者がLinkedInサポートに依頼して行います。この変換は取り消せないため、事業の分社化や売却などの大きな変化がある場合に限って検討するのが安全です。

役目を終えたページを止める場合も、いきなり非アクティブ化するのではなく、親ページや別のショーケースページへの移動を案内する投稿を出してから止めるのが丁寧です。ページを増やすのも減らすのも会社の発信全体に影響するため、判断に迷うときは第三者の視点を入れるとよいでしょう。SNS運用を外部と組んで進める場合の会社選びは、以下の記事を参考にしてください。

まとめ:ショーケースページは読者が分かれる事業にだけ作る

LinkedInのショーケースページは、複数の事業や商材を持つBtoB企業が「1社1ページで情報が混線する」問題を解くための有力な手段です。ただし、ページを増やせば成果が出るわけではなく、読者の分かれ方に合わせた設計と、ページごとに継続して発信できる体制がそろって初めて効果を発揮します。最後に要点を3つにまとめます。

  • 作るのは読者が明確に違う事業だけ。同じ読者に向けた商材違いなら親ページのシリーズ投稿で分ける
  • 親ページとの役割分担を先に決める。親ページは信頼と採用、事業別ページは見込み客の育成を担当させる
  • 半年ごとに継続か統合かを判断する。フォロワーの属性と遷移で評価し、止まったページは放置しない

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ハーマンドットでは、LinkedInをはじめとするSNSアカウントの現状を確認し、事業ごとに発信先を分けるべきか、親ページの中で整理した方がよいかを一緒に検討します。複数事業の投稿が混ざって反応が伸びない、事業部ごとの発信面をどう作ればよいかわからないといったお悩みがあれば、まずは現在のページの状態からお聞かせください。

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