TikTok Search Hubs活用法|検索結果面で指名外需要を拾う設計

TikTokは「おすすめに流れてくる場所」として語られることが多いメディアです。ところが実際の利用者は、気になった商品やブランドの名前をTikTok内の検索窓に入れて、レビューや使用感を確かめています。この検索の瞬間を、ブランド側が設計できるようにしたのがSearch Hubsです。
TikTok for Businessは2026年5月13日の公式ブログで、Search Hubsを「ブランドが所有する検索デスティネーション」と説明し、TikTokの検索結果ページ最上部に表示されるとしています。検索結果の一番上を、自社のコンテンツで構成できるということです。日本国内でも、アーティストのプロモーションを中心に検索特設ページとしての活用が先行して始まっています。
この記事では、Search Hubsを広告面のひとつとして扱う立場から、四つのフォーマットの違い、指名検索と非指名検索での設計の分かれ方、UGCや通常投稿との役割分担、そして導入を判断する前に整理すべき論点までをまとめます。機能紹介ではなく、自社で使うかどうかを決めるための材料として読んでください。
この記事の要点
- Search Hubsは、TikTok検索結果の最上部にブランドが所有する面を持てる仕組みです
- フォーマットは、ブランド語、EC連動、カテゴリ語、IP連動の四種類に分かれます
- 指名検索を押さえる使い方と、カテゴリ語で指名外の需要を拾う使い方では、設計も評価軸も変わります
- クリエイター起点のUGCを大量に生み出すBranded Buzzと組み合わせる前提で設計されています
- 検索の母数が小さい段階で導入しても効果は出にくいため、まず検索されている状態をつくる施策が先に必要です
Search Hubsはブランドが所有する検索面
TikTok Search Hubsとは、TikTokの検索結果ページ最上部に表示される、ブランドが所有する検索デスティネーションです。TikTok for Businessは、利用者が検索したときに最初に何を見るかをブランドが完全にコントロールできると説明しています。体験は没入感があり、カスタマイズ可能で、ブランド動画とクリエイター動画、バナー、CTA、公式アカウントをひとつの場所にまとめられます。
従来の検索広告との違いは、単発の広告枠ではなく「面」であることです。検索結果の上に広告が一枠出るのではなく、検索結果の一番上の領域そのものが、ブランドの構成した画面に置き換わります。枠を買うのではなく、体験そのものを設計する発想に近いと考えると理解しやすくなります。
もうひとつの特徴が、表示位置の保証です。TikTokはこの面について、検索結果の最上位を確保できるとしています。入札の結果として上位に出ることを期待する運用型の広告とは、性質が異なります。枠が取れるかどうかが不確実な施策ではなく、取れる前提で企画を組める点が実務上の違いです。
面の中身は、ブランドが用意した素材だけで構成する必要はありません。公式アカウントの動画、クリエイターが制作した動画、バナー、行動を促すボタンを組み合わせられます。ブランドの語りとコミュニティの声を同じ画面に並べられることが、この面の特徴です。
TikTok側は、この仕組みで実現できることとして三つを挙げています。検索結果の最上位を確保して高い関心を持つ需要を捉えること、検索体験をコントロールしてブランドが会話をリードすること、そして公式コンテンツとコミュニティの発信をまとめた探索用の拠点をつくることです。いずれも「検索してきた人にどう答えるか」という発想で組まれています。
TikTok内での検索という行動そのものは、以前から観測されてきました。AI機能の拡充によって検索や生成の体験が変わってきた流れの延長線上に、この広告面の登場があります。プラットフォーム側の変化を追っている場合は、あわせて整理しておくと位置づけがつかみやすくなります。
検索という行動がTikTok内で完結する前提
検討すべき背景として、利用者がTikTokの外に出ずに情報を集める行動が定着してきたことがあります。動画で商品を知り、そのままアプリ内で検索し、他の利用者の投稿で裏を取る。この一連の流れが一つのアプリの中で完了します。外部の検索エンジンを経由しない分、途中で競合に接触する機会も減ります。
この前提に立つと、検索結果の最上部を押さえることは、比較検討の入口を押さえることと同義になります。外部サイトでの対策とは別に、アプリ内での見え方を管理する必要が出てきたということです。
四つのフォーマットと選び方
Search Hubsは四つのフォーマットに分かれています。押さえる検索語の種類と、目的が異なります。自社がどれに当てはまるかを最初に決めておくと、社内の検討が早く進みます。
| フォーマット | 押さえる検索語 | 主な目的 |
|---|---|---|
| Branded Search Hub | ブランド名・商品名などの指名語 | ブランドの語り口を管理し、想起を維持する |
| E-commerce Branded Search Hub | 指名語(TikTok Shop出店者向け) | TikTok Shopでの購買につなげる |
| Category Search Hub | カテゴリ全体を指す非指名語 | カテゴリの会話を押さえ、独占的な露出を得る |
| Sponsor Search Hub | 文化的な話題やIPに関する語 | 大型の話題に相乗りして注目を集める |
多くの企業にとって入口になるのはBranded Search Hubです。すでに自社名で検索されている状態があるなら、その検索結果をどう構成するかという話になります。検索されている実態があるため、効果の見立ても立てやすい形です。
Category Search Hubは性質が異なります。カテゴリ全体を指す非指名語を押さえるため、まだ自社を知らない層に届きます。TikTokはこのフォーマットについて、独占的な露出が得られるとしています。指名検索がまだ少ない企業ほど、こちらの意味が大きくなります。ただし、カテゴリ語は競合も狙うため、確保できるかどうかは時期とタイミングに左右されます。
四つのうちどれを選ぶかは、自社の現在地で決まります。指名検索がすでに一定量ある企業はBranded Search Hubから、まだ知られていない段階の企業はCategory Search Hubから検討するのが素直な順番です。知名度の段階を飛ばして選ぶと、面は取れても訪問が伴いません。
E-commerce Branded Search HubはTikTok Shopの出店者向けです。検索から購買までをTikTok内で完結させる設計になっているため、Shopを運用していない企業は対象外になります。Sponsor Search Hubは、大型イベントやIPに関連する語を押さえるもので、予算規模も企画の性質も他の三つとは別枠で考えるのが実態に近いです。
検索面をブランドが押さえる意味
検索結果の最上部を押さえる価値は、そこが「答えを探しに来た人の目に最初に入る場所」だからです。おすすめのフィードで偶然出会うのとは、関心の濃さが違います。すでに名前を知り、確かめに来ている人に対して、何を最初に見せるかを決められることの意味は小さくありません。
押さえなかった場合に何が起きるかを考えると、価値がより明確になります。検索結果の上位には、第三者の投稿が並びます。好意的な投稿ばかりとは限りませんし、古い情報や誤解を含む投稿が上位に来ることもあります。検索面を押さえないという判断は、そこに何が並ぶかを他者に委ねるという判断です。
実際、検索結果に何が並ぶかは、ブランドの印象を左右します。使い方を誤解した投稿、古い仕様のまま紹介している投稿、競合との比較で不利に見せる投稿。いずれも意図的な攻撃ではなく、単に情報が更新されていないだけということもあります。それでも、検索した人にとってはそれが最新の情報に見えます。
面を押さえることは、こうした情報を消すことではありません。並び順の最上部に、正しい情報を置けるということです。第三者の投稿を否定するのではなく、公式の答えを先に見せるのが、この面の使い方です。
もうひとつの観点が、検索と購買の距離です。カテゴリ語で検索している人は、まだ選択肢を絞り込んでいる途中です。ここで自社の情報がまとまった形で提示されれば、比較の土俵に乗れます。逆に、この段階で不在であれば、比較のリストにそもそも入りません。
検索という行動をSNS上で設計する発想は、TikTokに限った話ではありません。プロフィールやキャプションを検索に最適化する考え方は、他のプラットフォームでも共通します。横断的に整理しておくと、媒体ごとの打ち手が重複しません。
Branded BuzzとKeyword Amplifierの役割
Search Hubsは、単体で使うことを前提に設計された仕組みではありません。TikTokは同じ発表の中で、Branded BuzzとKeyword Amplifierという二つの仕組みを並べて説明しています。この三つの関係を理解しないと、検索面だけを買っても成果につながりません。
Branded Buzzは検索の母数をつくる
Branded Buzzは、クリエイター起点でUGCを大量に生み出すソリューションです。単発のタイアップ投稿とは規模が違い、短期間で一気に量を積むことを狙います。話題の山を人工的に作り、その山から検索へ流すという発想です。
TikTokは、300人のクリエイター、数千本の動画、数百万回の視聴といった規模感を例示し、製品ローンチやブランド発表などの山場に向いているとしています。運用はTikTok Oneのダッシュボードで行い、動画の提出確認、ピン留め、レポート閲覧、絞り込みが一か所でできます。量を追う施策である以上、内容のばらつきは避けられません。そこをスクリーニングで担保する設計になっています。ブランド側で全数を事前確認する運用は現実的ではないため、プラットフォーム側の品質管理と、ダッシュボードでの事後確認を組み合わせる形になります。
品質面では、すべてのBranded Buzz動画がクリエイティブ品質とキャンペーン関連性の観点でスクリーニングされ、提出物にはプロモーションコンテンツのラベルが付与されます。広告であることを隠さない前提で設計されている点は、ステルスマーケティングへの懸念がある企業にとって確認しておきたい仕様です。
Keyword Amplifierが検索行動へ橋を架ける
Keyword Amplifierは、Search Hubへの送客を増やすためのツールです。Branded Buzzの投稿群に、クリック可能なコメントと検索レコメンドを表示させることで、受動的に眺めている状態から能動的な検索へ視聴者を誘導します。TikTokは、初期テストでKeyword Amplifierをバンドルしたブランドが検索ページビューを58%増加させたとしています。
この構造が示しているのは、検索面は需要を「つくる」ものではなく「受け止める」ものだということです。検索されていない状態でSearch Hubだけを用意しても、訪れる人がいません。検索の母数をつくる施策と、受け止める面の整備は、必ずセットで考える必要があります。
三つを束ねた設計が前提になっている
TikTokは、Branded BuzzとSearch Hubsを組み合わせることで、コミュニティ主導の盛り上がりを持続的な勢いに変えられると説明しています。クリエイターが話題を生み、Keyword Amplifierが検索へ誘導し、Search Hubがそれを受け止める。三段構えの設計です。
この構造を理解せずに面だけを検討すると、費用対効果の見立てを誤ります。面の費用に対して、クリエイター施策の費用も同時に発生する前提だからです。予算の見積もりは、面単体ではなく座組み全体で立ててください。
また、Branded Buzzで生まれたクリエイター動画は、Search Hubの中に配置することもできます。公式素材だけで構成するより、実際の利用者の声が並んだほうが、検索してきた人にとっては判断材料になります。制作と配置を別々に考えず、最初から使い回す前提で企画すると効率が上がります。
指名検索と非指名検索で設計が分かれる
同じSearch Hubsでも、指名語を押さえる場合とカテゴリ語を押さえる場合では、中身の作り方が変わります。指名語で来る人は、すでにブランドを知っていて、確かめに来ています。必要なのは、疑問を解消して次の行動に進ませる構成です。
具体的には、商品の実際の使用シーン、よくある疑問への答え、購入や来店への導線が上位に来る構成が機能します。ブランドの世界観を伝える映像は必要ですが、それだけでは疑問が解消されません。指名検索は「買う前の最後の確認」であることが多く、判断材料を出し惜しみすると離脱します。
カテゴリ語で来る人は、まだ選択肢を絞っていません。ここで自社の宣伝を前面に出すと、比較の途中にある人の関心とずれます。カテゴリ全体の理解を助ける内容を先に置き、その文脈の中で自社が選ばれる理由を示す構成のほうが噛み合います。
面に置く素材の構成順も変わります。指名語では、まず商品そのものを見せ、次に使っている場面、最後に購入導線という流れが自然です。カテゴリ語では、まず課題や用途の提示から入り、その解決策として自社を示し、最後に詳細へ進む導線を置く構成になります。順番を間違えると、同じ素材でも反応が変わります。
評価の軸も変わります。指名語では、検索してきた人が次の行動に進んだ割合を見ます。カテゴリ語では、そもそも自社を知らなかった人にどれだけ届いたか、その後に指名検索が増えたかを見ます。同じ指標で二つを並べて評価すると、必ずどちらかを見誤ります。
指名検索そのものを増やす取り組みは、Search Hubsの前段として重要になります。検索されていない状態では、指名語の面を押さえても訪問がありません。
押さえる検索語をどう選ぶか
指名語であれば選択の余地は限られますが、カテゴリ語を押さえる場合は、どの語を選ぶかが成果を左右します。選定の基準は、検索される量と、その語で来た人が自社の商材にたどり着く自然さの二つです。
検索量が大きい語は魅力的に見えますが、関心の幅が広すぎることがあります。たとえば非常に一般的なカテゴリ名は、まったく別の目的で検索している人も多く含みます。量より、検索意図が自社の提供価値に近いかどうかを優先してください。
語の候補は、自社アカウントの投稿に付いているコメントや、実際の顧客が使う言葉から拾います。社内で使っている正式名称より、顧客が口にする言い回しのほうが検索されている、というのはよくあることです。営業やカスタマーサポートに直近の問い合わせでよく出る表現を聞くと、候補が集まります。
候補が固まったら、必ず実際にTikTok内でその語を検索して、いま何が並んでいるかを見てください。自社に有利な投稿が既に上位にあるなら、面を押さえる優先度は下がります。逆に、関係のない投稿や競合の投稿ばかりであれば、押さえる価値は高くなります。
国内で先行している活用のかたち
国内では、音楽やエンターテインメント領域での活用が先行しています。アーティストの新作リリースに合わせて、TikTok内で名前を検索すると専用にデザインされた検索特設ページが表示される、という形で紹介されてきました。2026年3月にはINIが新曲のリリースに合わせて公開し、それ以前にもXGの事例が報じられています。
この領域で先に使われている理由は明快です。リリースという明確な山場があり、その前後で指名検索が急増します。検索が集中するタイミングに面を用意できれば、投資対効果が読みやすくなります。山場のない継続運用よりも、検索が跳ねる瞬間に合わせるほうが成果が出やすい仕組みです。
一般企業に置き換えると、新商品の発売、大型キャンペーン、テレビ出稿や大規模な話題づくりと連動させる形が近い使い方になります。逆に、平常時の検索数がそれほど多くない状態で常設しても、面の力を活かしきれません。
こうした先行事例から読み取れるのは、検索特設ページという見せ方が利用者に受け入れられているという点です。検索した結果がブランド仕様の画面になることに対して、拒否感よりも特別感として受け取られる傾向があります。広告色が強く出ても嫌われにくい面であることは、活用のしやすさにつながります。
ただし、それはコンテンツが期待に応えている場合に限られます。検索して開いた先に、既視感のある宣伝素材しか置かれていなければ、特別感は失われます。面の力に頼るのではなく、中身の質が問われる点は他の施策と変わりません。
国内での活用事例がまだ限られていることは、裏を返せば先行の余地があるということでもあります。カテゴリ語を押さえるフォーマットは独占的な露出が得られるとされているため、早く動いた企業が有利になる構造があります。
導入を判断する前に整理する論点
導入の可否は、感覚ではなく条件で判断します。整理すべき論点は四つあり、いずれも社内で答えを出せるものです。
判断の前に答えを出す四つの問い
- 検索の母数:TikTok内で自社名やカテゴリ語がどの程度検索されているか把握しているか
- 山場の有無:検索が跳ねるタイミングが今後三か月以内にあるか
- 素材の供給:面を埋めるだけのブランド動画とクリエイター動画を用意できるか
- 受け皿の準備:検索面から先に進んだ人を受け止めるShop・LP・アカウントが整っているか
山場の有無については、社内のカレンダーを開いて確認します。新商品の発売日、大型キャンペーンの開始日、展示会やイベントの日程が、今後三か月以内にあるかどうか。該当するものがなければ、導入の時期を後ろにずらす判断も妥当です。常設で持つより、山場に合わせて投下するほうが投資対効果は読みやすくなります。
四つのうち、最も見落とされやすいのが素材の供給です。Search Hubsはブランド動画とクリエイター動画、バナー、CTA、公式アカウントをまとめて配置する面です。中身が乏しければ、最上部を押さえても薄い印象になります。面を買う予算と、面を埋める素材の予算は分けて確保してください。
受け皿の準備も同様です。検索面で関心を高めた人が、その先で迷子になれば意味がありません。TikTok Shopを運用しているならShopの導線を、外部サイトに送るならそのページの状態を、事前に確認しておきます。
検索の母数については、自社の観測だけでは把握しきれない部分があります。プラットフォームをまたいだ検索流入の計測方法を整えておくと、判断の材料が増えます。
UGC・通常投稿・広告の役割分担
Search Hubsを入れると、TikTok上の打ち手が三層になります。クリエイターによるUGC、自社アカウントの通常投稿、そして広告です。それぞれの役割を決めておかないと、同じことを三重にやることになります。
| 層 | 役割 | Search Hubsとの関係 |
|---|---|---|
| クリエイターのUGC | 話題を生み、検索のきっかけをつくる | 検索の母数を供給する |
| 自社アカウントの通常投稿 | 継続的な発信で信頼を積む | 面に置く公式コンテンツの供給源になる |
| 運用型広告 | 特定の層に狙って届ける | 認知を広げ、検索行動の前段をつくる |
| Search Hubs | 検索してきた人を受け止める | 三層が生んだ関心の着地点になる |
この整理で重要なのは、Search Hubsが最上流ではなく着地点だという点です。上流の三層が機能していなければ、着地点に人は来ません。導入を検討する際は、上流の状態を先に点検してください。
通常投稿については、コメント欄の使い方も関係します。コメントを通じた双方向のやり取りは、関心を持った人が検索に進む動機になります。機能の使い分けを押さえておくと、UGCの発生量も変わってきます。
三層が欠けているときの打ち手
上流が整っていない場合、先にやるべきことは明確です。クリエイターとの接点がなければ、まず小規模な座組みで試します。通常投稿が止まっているなら、投稿の頻度を戻すところから始めます。広告を回していないなら、認知目的の配信で母数をつくります。
どれも数週間で結果が出る施策ではありません。だからこそ、山場の直前に慌てて検討するのではなく、前倒しで着手する必要があります。検索面は、上流の施策が積み上がった後にこそ効く仕組みです。
検索面から先の導線をどこへ通すか
面の中に置くCTAをどこへ向けるかは、商材によって変わります。TikTok Shopを運用しているなら、離脱の少ないShop内の導線が第一候補になります。アプリの外に出す遷移は、それだけで一定の離脱を生むためです。
Shopを持たない企業では、自社サイトの該当ページに送ることになります。ここで注意したいのは、送り先がトップページや総合的な商品一覧になっていないかという点です。検索してきた人の関心は特定の商品や用途に絞られています。関心の粒度と着地ページの粒度がずれると、その場で離脱します。
公式アカウントへの誘導も有力な選択肢です。すぐに購買に進まない層に対しては、フォローしてもらって継続的に接点を持つほうが、長期的には効率が良い場合があります。商材の検討期間が長いほど、この選択肢の価値は上がります。
複数のCTAを並べる場合は、優先順位を明確にします。すべてを同じ強さで並べると、どれも選ばれません。一次行動を一つ決め、それ以外は補助的な位置に置く構成が機能します。
効果をどう測るか
測定では、検索面そのものの数値と、その前後の数値を分けて見ます。面の数値は、表示回数、面内での視聴、CTAのクリックです。前後の数値は、検索ボリュームの変化と、着地先での行動です。
TikTokが公開している参考値では、Keyword Amplifierをバンドルしたケースで検索ページビューが58%増加したとされています。またL’Oréalの事例では、予測比7.5倍のオーガニック視聴、検索ボリュームの2.9倍の上昇、キーワード増幅検索で市場ベンチマークの1.9倍という数値が示されています。いずれも2026年5月時点で公表されている値です。
自社で評価する際は、これらの数値をそのまま目標に置かないことが大切です。規模も商材も異なるため、参考値は「どの指標を見るべきか」の手がかりとして使います。他社の倍率を目標にすると、達成できなかったときに施策そのものを否定する結論になりがちです。
測定で注意したいのは、面の数値だけで評価を完結させないことです。表示回数が多くても、その先で何も起きていなければ意味がありません。逆に、表示回数が想定より少なくても、訪れた人の行動率が高ければ、次回は母数を増やす方向で改善できます。見るべきは絶対数ではなく、どこで詰まっているかを示す比率です。
もうひとつ有効なのが、検索面を持たなかった期間との比較です。山場に合わせて導入する場合、前回の同種の山場と比べることで、面があったことの差分が見えます。比較対象を事前に決めておくと、終わってから慌てずに済みます。
向く企業と導入の時期
向いているのは、検索されるだけの話題を作れる企業です。新商品の投入頻度が高い、季節ごとの山場がある、クリエイターとの座組みを作れる、といった条件がそろっているほど効果が出ます。逆に、年間を通じて話題の起伏がない商材では、常設の面を持つ意味が薄くなります。
もうひとつ、向き不向きを分けるのがクリエイターとの関係です。Branded Buzzのようにクリエイターを大量に動かす施策は、単発の依頼で成立するものではありません。日頃から一定の関係を持っているか、あるいはそれを構築できる体制があるかが、実行可能性を左右します。
この点で、社内にSNSの担当者がいない企業や、投稿を外部に丸投げしている企業では、座組みを組むこと自体が難しくなります。面の導入より前に、制作と発信の体制を整えるほうが優先度は高くなります。
BtoB商材では、判断が分かれます。TikTok内での検索数がそもそも少ない領域であれば、優先度は下がります。一方で、若い世代の担当者が情報収集に使っている領域や、採用文脈で検索されている企業では、検討の価値があります。業種で切るのではなく、自社名がTikTok内で検索されているかどうかで判断してください。
採用文脈での検索は、見落とされやすい需要です。就職活動中の学生が企業名をTikTokで検索し、社内の雰囲気を知ろうとする動きは一定量あります。この検索に対して何も用意していなければ、第三者の断片的な投稿だけが並びます。採用広報に予算を持っている企業では、検討の余地があります。
時期については、山場の二か月前から準備を始めるのが目安です。素材の制作、クリエイターの手配、面の構成、受け皿の整備を考えると、直前の判断では間に合いません。逆算して動ける体制があるかどうかも、実行可能性を左右します。
外部に運用を任せている場合は、この座組みを組める体制かどうかを確認します。運用型広告の代行だけを請け負っている相手だと、クリエイター施策と検索面の設計をまとめて扱えないことがあります。費用の目安を押さえたうえで、対応範囲を確認してください。
運用中に見直す項目と頻度
面を公開したら終わりではありません。掲載期間中は、どの素材が見られていて、どこで離脱しているかを確認しながら差し替えます。特に、最初に表示される素材は反応を大きく左右するため、反応が鈍ければ早めに入れ替えます。
差し替えの判断は、掲載開始から数日でつきます。表示回数に対して面内での視聴が伸びていなければ、入口の素材が関心と合っていません。逆に視聴は伸びているのにCTAのクリックが少なければ、導線の位置か文言に問題があります。詰まっている場所によって、直すべき箇所は変わります。
クリエイター動画の追加も検討します。Branded Buzzを並行して走らせている場合、日を追うごとに使える素材が増えます。反応の良かった動画を面に追加していけば、期間の後半ほど中身が充実していきます。最初にすべてを固めず、育てる前提で設計するほうが結果は良くなります。
見直しの頻度は、掲載期間の長さに合わせて決めます。二週間程度の掲載なら二日に一度、一か月を超えるなら週次で十分です。頻度を上げすぎると、判断に足るデータが溜まる前に手を入れることになります。
社内で合意を取るときの説明のしかた
新しい広告面の導入は、社内で説明の負荷がかかります。特に、運用型広告のように細かく調整できるものではなく、枠を確保する性質の施策は、効果の見立てを事前に示す必要があります。ここで有効なのは、検索の母数から逆算した説明です。
自社名やカテゴリ語がどの程度検索されているかを示し、そのうち何割が面に触れるか、触れた人のうち何割が次の行動に進むかを段階的に見積もります。数値は推定で構いません。重要なのは、どの前提が崩れたら成果が出ないかを事前に共有しておくことです。
予算の位置づけも整理しておきます。運用型広告の予算枠から出すのか、ブランディングやキャンペーンの枠から出すのかで、評価される指標が変わります。獲得効率で評価される枠から出すと、検索面の性質と評価軸が合わず、短期で打ち切られることになりかねません。
あわせて、比較対象も示します。同じ予算を運用型広告に投じた場合との違い、既存の施策で置き換えられない部分がどこかを整理すると、議論が「新しいから試す」ではなく「この役割が足りないから入れる」に変わります。
まとめ:検索の母数をつくってから面を押さえる
検索面を押さえるという打ち手は、これまで外部の検索エンジンに対して行ってきた対策を、アプリ内でも行うという話です。利用者の情報収集がプラットフォームの内側で完結する以上、外側だけを整えていても届かない層が生まれます。その空白を埋める選択肢として捉えると、優先順位の判断がしやすくなります。
Search Hubsは、TikTokの検索結果最上部をブランドが構成できる仕組みです。ただし、検索されていなければ訪れる人はいません。面を押さえる前に、検索される状態をつくることが先です。順番を逆にすると、費用だけが先に出ていきます。
検討の第一歩は、自社名やカテゴリ語がTikTok内でどう扱われているかを実際に見ることです。検索して並んだ画面が、自社にとって望ましい状態かどうか。その答えが、導入の必要性をそのまま示します。
- 指名語を押さえるのか、カテゴリ語で指名外の需要を拾うのかを先に決める
- Branded BuzzとKeyword Amplifierで検索の母数をつくる前提で設計する
- 山場の二か月前から逆算し、素材と受け皿の準備を並行して進める
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自社がTikTok内でどの程度検索されているか、検索してきた人が何を見ているかは、アカウントの状態と発信の内容から推測できます。Search Hubsを検討する価値があるかどうかは、検索の母数を確認してから判断するのが確実です。
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